2018年4月6日金曜日

「副業解禁」の企業の動きがまだ悩ましそうに見えること


私はこれまであまり前向きとは見ていませんでしたが、副業解禁の動きが大手企業の中で増えているという記事がありました。
今までは情報漏洩や長時間労働につながるとして慎重な姿勢が目立っていましたが、柔軟な働き方を認めることが優秀な人材の獲得や流出防止につながるということで、一定の条件を付けて容認する動きが目立って来ているとのことです。

記事で紹介されていたのは、わりと先進的な姿勢を持った企業が多かったですが、それでも副業の条件として、「個人の技能向上や成長につながる」「就業時間外や休日に限る」「事前に届出書と誓約書を提出する」「会社にイノベーション(革新)をもたらすものである」「健康維持のため午前0時以降の勤務は禁じる」などが示されていました。
副業解禁に関する調査結果を見ていると、消極的な理由には「長時間労働への危惧」や「情報流出の懸念」などがあるので、それに対する措置がおこなわれているようです。

いずれにしても、こういう動きが進むのは、私は良いことだと思っています。そもそも終身雇用が維持できなくなった段階で、働く人の選択肢を会社が一方的に限定するのは理屈に合わないと思うからです。
ただ、今回の記事では副業を容認する企業が増えているという内容でしたが、中身をよく見ていくと、企業側はずいぶん悩ましさを持ちながら向き合った結果として、こういう形になったのだろうということがたくさんあります。新しい制度に積極的な企業や、社員の活動に比較的寛容と思っていた企業でも、現段階では意外に慎重な姿勢だと見えることが多かったからです。

私は副業などはどんどんやればいいという考えで、あまり規制する必要はないと思っていますが、もし企業の人事担当として制度を考える立場だったとしたら、やはり初めは慎重を期して、いろいろ制限を考えたと思います。こういう話の場合、性善説と性悪説のどちらのスタンスで制度を作るかという話がありますが、確かになかなか悩ましさがあります。

まず、優秀な人材確保が優先だとしたら、規制はできるだけ少ないに越したことはありません。“優秀”の定義はいろいろですが、そういう人材が一番嫌うのは強制と限定ですから、性善説に立ってできるだけ自由な環境にすることが好ましいはずです。

その一方、副業となれば、利益相反や本業との関係などで、考えなければならないことは確かにいろいろ出てきます。ゆるい規制ではそれを悪用する人がいないという保証はありません。

ここからは私の個人的な考えですが、副業についてはまずやりたい本人の思った通りにやらせて、その中で不都合があれば決まりを作っていくという姿勢が良いのではないかと思っています。初めから不都合を想定して決まりを作ることでは、必要以上の締め付けになって制度が活性化せず、結局今までと同じになってしまうからです。

長時間労働で具合が悪くなるほど副業に精を出す人がいるようには思えませんし、「個人の成長」とか「会社に有益」とか言われても、その基準は主観以外の何者でもありません。
確かに会社の取引先や関係先に個人的な営業をするような懸念はあるので、その規制は必要かもしれませんが、会社に黙って会社の関係先と取引するのは、そう簡単にできることではありません。
いま懸念されている「副業のデメリット」というのは、現実では意外に起こりづらいと思えることが多数含まれています。

実際本当に悩ましいところではありますが、もしも副業にたずさわることが経営者マインドにつながるのであれば、それは会社にとってもメリットになります。
副業の話は、あまり目くじらを立てずに、もっと気楽にやらせてみても良いのではないでしょうか。

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