2018年3月14日水曜日

優秀な人材が、なぜ隠すことにインセンティブを感じたのか



財務省が某学校法人の土地取得に関する決裁文書を、国会答弁を乗り切るために改ざんしていたとして大きな問題になっています。成り行きによっては刑事事件になる可能性もあるようです。

テレビニュースなどで放送されている街の声などを聞くと、「許せない」「信用失墜」「大臣は辞任を」「関係者の喚問を」といった厳しい話が出ています。やはり真相は究明されなければならないですし、誰かが責任を取らなければ収拾はつかないでしょう。
また、「こんな話は民間会社では通用しない」と言っていた人がいましたが、確かにいつまでもしらを切り続けたこと、嘘をつき続けたことではそういうところもありますが、民間でも隠蔽やごまかしのような話はたくさんあるので、一概にそうとは言えないと思います。

これは、都合の悪いことを隠そうとするすべての人に対して私が思うことですが、なぜばれたときに大きなリスクがあるにもかかわらず、隠したり嘘をついたりするだろうかということです。私自身も何か自分に不都合なことがあれば、隠してしまおうとかごまかしてしまおうと思ってしまうことはありますが、もし表沙汰になった時にどうなるかということを考えて、たいがいのことは思いとどまります。隠し通せる可能性は低く、知られたときのリスクが大きいことが大半だからです。

私が興味があるのは、財務官僚のような優秀な人たちが、どういう思考でこのような選択をしたのかということです。隠す方がメリットが大きい、相当まずいことがあって隠すしか方法がない、隠し続けられるだろうという判断、何かの圧力や保身など、かなり普通ではないことが起こらないと、こういう選択はしないでしょう。

一つ気をつけなければならないのは、どんなに優秀な人でも追い込まれてどうしようもなくなると、このように到底メリットがあると思えない選択を、当たり前のようにしてしまうことです。また、大きな問題になるほど、組織の中では上位の役割を担う、権限を持った人がからんでいます。末端の社員や構成員であれば、自己判断でできることが少ないので、そこまで大きな問題にはならないことがほとんどですが、組織で上位の役割の人が関わるとそうはいきません。

私も今までいくつもの会社で、優秀な社員の不正や隠蔽を見てきました。「それほど大きな問題になるとは思わなかった」という人は確かにいますが、多くの場合はみんな確信犯で、物事を自分に都合よく解釈していて、他人から指摘されたり、問題が発覚してしまったりしてから初めて、我に返って「まずい」となっています。
優秀で頭が良い人でも、何か優先順位を間違うと、そこまで想像力がなくなってしまうのです。

今回の件は、魔が差したのか、タカをくくっていたのか、想像できなかったのか、それとも他に何か理由があったのか、まだよくわかりませんが、そういう判断に至った経緯を知りたいです。
官僚独特の思考はあるかもしれませんが、きっとどこの会社でも起こりうる何かが見えてくる予感がします。


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