2018年2月16日金曜日

スポーツに学ぶ「外部要因による有利不利」を減らす工夫



平昌冬季オリンピックが開幕し、連日競技がおこなわれていますが、特に屋外競技では低温と強風の気候のせいで、かなり苦労があるようです。

もともとがそういう気候の土地柄のようですが、スノーボードのある種目では、強風の中で競技が進められ、全25選手中20人が転倒するという状況だったといいます。
陸上競技のように一緒に走った選手の中で順位を決めていくならば、みんな同じ環境なので問題はないでしょうが、冬季五輪の屋外競技は、順番に滑って採点するようなものが多いので、その時の環境に左右される部分が大きくなり、偶然の要素による有利不利が出てきます。

そんなことが気になって、競技の進行の様子を見ていると、どの競技でもやはり一番気にしているのは風の状態で、例えばスキージャンプでは向かい風有利で追い風不利、スタート位置が高いと有利ということがはっきりしているので、それぞれの採点で、有利な条件は減点、不利な条件は加点するルールが決められています。
他でも風の状態を見て競技委員がスタートを待たせたりしていて極端な有利不利ができるだけなくなるように配慮しています。

これがテニスでは、ニューボールはサーバー有利ということで、ボールを交換するタイミングが決められていますし、用具を使う競技では必ずその規定が決められています。極端な不公平を防ぐということが大きいでしょうが、競技の本質を損なうという懸念もあるでしょう。やはり用具の性能の違いは外部要因の一種といっても良いと思います。

同じように外部要因の違いをどう扱うかという問題は、企業の中でも起こります。多くは社員の評価に関わるところで、例えば営業職であれば地域の違い、顧客の違い、景気動向の違いなどがあります。大口顧客とそうでない顧客、手間がかかる顧客とかからない顧客、顧客が多い地域と少ない地域などの様々な環境があり、営業活動の労力や難易度は大きく違います。たぶん売上目標などで調整したり、その他の部分で配慮したりするのでしょうが、それでも結構大きな有利不利が温存されていたりします。「数字がすべて」といってそんな配慮は一切しないという会社もあります。

全員がまったく同じ環境になることはないので、ある線以上の有利不利は見切るしかなく、それはスポーツでも会社でも同じですが、少し違っていると思うのは、スポーツの世界の方が、勝ち負けやパフォーマンスの有利不利につながる外部要因を、可視化しようという姿勢が強いということです。

確かにスポーツの方が対象が単純で見えやすいということがあるかもしれませんが、先ほどのスキージャンプでも、風には配慮するけれども雪質へのアジャストは選手の責任、それ以外の用具を使う競技でも、基準は決めるがそれに合わせるのは選手の責任など、最も有利不利に影響するものだけを見極めて、それに対する対策を中心にしています。複合する要素をなんでもかんでも調整しようとはしていません。

これに対して企業では、有利不利に影響する要素は認識していても、その中で最も影響が大きなものがどれか、その影響はどのくらいあるのかというところまでは見ていないことがほとんどです。
様々な要素が複雑にからみ合っているとして、一つ一つの要素は見ずに「ここは楽」「ここは大変そう」など、全体を主観的に見ていることが多いです。それは一つ間違うと不公平を助長することになりかねません。

会社での評価で「外部要因の有利不利」を反映しようとしたとき、スポーツの世界でやっているように影響する要因を絞って可視化することは、ずいぶん参考になると思います。
まずは最も影響が大きい要素を定め、その影響がどの程度かを考えることが始まりではないでしょうか。


0 件のコメント:

コメントを投稿