2018年1月19日金曜日

自分の意志で引退したのに後悔があったという話



今回の話を50歳以下の人にしても、まだ自分には関係なく、興味もないという人がほとんどかもしれませんが、自分がその世代になれば、こんなことも考えるのだということの参考にでもしてもらえればと思います。

最近は自分の年令のせいもあるのか、周りで定年や引退の話をする人が増えた気がします。今から5年くらい前にはそういう話はほとんどなかったですし、自分でも考えたことがなかったので、やはり自分のライフステージが変わってきたということなのでしょう。

これは私の知人ですが、引退後にやりたいことを見つけたと言って、まだ50代のうちに自分の意志で仕事からきっぱり身を引き、その時は周りから見てもうらやましいと思える引き際でした。

しかし、それからしばらくして話を聞けば、実際に仕事を離れてみると、時間的な余裕は十分あるものの、出会う人や会話する相手の数、その他生活の中での刺激は減ってしまい、生活に何となく張りがなくなってしまったそうです。
たまに元の仕事仲間などに会うと、みんな生き生きと活動しているように見え、やりたいと思っていたはずのことも、それだけでは時間を持て余し、続けているとだんだん面白みが薄れていったそうです。今は引退を早まったと後悔していて、あらためて何か仕事としてできそうなことを模索していると言っていました。こんなことを言う元経営者に出会ったことは、今までに何度かあります。

これに対して、最近話を聞いた何人かの社長は、「70歳を超えるまではいつまでも働けると思っていたが、実際に超えると急に気力がなくなってきた」と異口同音に言っていました。もう十分に仕事をしてきたという思いもあるし、さすがに体力的に厳しくなってきたという話です。

定年があって自分の意思にかかわらず引退しなければならない会社員とは違い、経営者や自営業者は引退時期を自分で決められます。もちろんいろんな人生観がありますが、結構な比率で死ぬまで働くつもりという人がいて、引退時期を言う人でも、一般的な企業の定年より10年以上は後という人が多いです。
実際に死ぬまで働けるのかどうかは、その人の健康と体力次第ですが、「死ぬまで働く」という人は、引退する基準を自分の健康、体力に置いているということで、他にも年齢的なことで引退時期を言う人は、同じく自分の健康、体力が基準でしょう。

これに対して、「やりたいことがある」「違う人生を」などといった理由で引退を決めている人は、よほど仕事が嫌で辞めたいと思っていたか、もしくはその理由が本当に仕事と置き換わるくらいの大きさのものでないと、あとから後悔しているという人が結構います。

こう考えると、自分自身が一番納得できる引退理由は、たぶん「自分の健康・体力」なのだと思います。もしも健康で体力に余力があるのに、自分で引退を考えるのであれば、それが相応の理由なのかを十分に考える必要があります。

アスリートなどを見ていても、まだ体力的にできると思っているのに引退しなければならない人の方が、自分で納得するまでには時間を要したりするなど苦労しています。
ですから、まだ健康で体力も十分な人が定年と言って引退しなければならない会社員は、何かそれなりのことを見つけなければ、引退後の時間が有意義に過ごせなくなってしまいますし、もしも仕事を続けたかったとしたら、納得しづらい人も多いでしょう。経営者、自営業者、会社員に限らず、悠々自適と思っていたのが期待外れという人もいます。

ちなみに私は世の中からお呼びがかからなくなるまで、もしくは体力的に無理になるまでは働きたいと思っていますが、今はそうでもこれから先にどう気持ちが変わるかは、自分でもわかりません。

少なくとも、引退を自分で決められるならば、あまり早まらずによく考えること、定年などがあって自分で決められないならば、早いうちから引退後に取り組めそうなことを準備しておくことを、それぞれ意識しておいた方がよさそうです。


1 件のコメント:

  1. 確かに40歳後半から考える必要があるし、考えた人と避けて通る人ではファイナンシャル面でも生き甲斐面でも大きな差が出る例が沢山見受けられます。最後の文章、言い得て妙…であり、間違いのない現実だと思います。 でも…これが分かるのは考えた経験がありその年を迎えた人…。40歳後半の心にスッと入り込める説明法が課題かなと感じました。
     

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