2018年1月17日水曜日

「巻き込み力」には良いものと悪いものがある



最近は、周囲の仲間の力を取り入れながら、物事を成し遂げていく力のことを、「巻き込み力」などと言い、これがリーダーに必要な能力だと言われています。
一人でできることには限度があり、それ以上のことを成し遂げるためには、必ず誰か周囲の仲間との協力が必要になることがほとんどでしょう。

「巻き込み力」が高い人は、他人の話をよく聞き、人を差別せず、好き嫌いを言わず、論理的でなおかつ行動力があり、判断力がある人などと言われますが、これをすべて兼ね備えるような人格者はそうそういるものではありません。ただ、「巻き込み力」が高い人を一言でいえば、“みんなに好かれて信頼がある人”ということになるのでしょう。

こんな重要性が言われる「巻き込み力」ですが、周りの人からすれば「巻き込まれる」ということで、この「巻き込まれる」という言葉は決していいイメージばかりではありません。面倒なことや困難に「巻き込まれる」などということもありますから、この「巻き込み力」には、良いものと好ましくないものの両方があるといえます。

好ましい「巻き込み力」は、いろいろなところで解説されているので、ここではあえて嫌われる「巻き込み力」はどういうことなのかを考えてみました。
ちょっと思い浮かぶのは、「やたら面倒なことを要求する」「嫌がることを強制する」「自分の考えを押し付ける」などということですが、ここに共通しているのは「自分の都合に相手を巻き込む」ということではないかと思います。

良い巻き込みというのは、関係する人全員のメリットを考えていますが、好ましくない巻き込み、嫌われる巻き込みは、ただ自分の問題を解決するためだけ、自分に都合よく物事を運ぼうとしているだけです。自分の問題に、ただ一方的に相手を巻き込んでいるだけということがほとんどではないでしょうか。

私は仕事の基本というのは、「いかに関係者同士のWin-Winを生み出すか」にかかっていると思っていますが、嫌われる「巻き込み力」は、この基本から外れています。
実際の仕事の場面で、この嫌われる「巻き込み力」を駆使している人は、実は結構見かけます。例えばリーダー、マネージャーという立場の人が、相手の考え方や価値観を尊重せず、一方的に自分の価値観を押し付けるような態度は、まさにこの良くない巻き込み、嫌われる巻き込みにあたります。
そして、そういう行動をしている人に限って、「自分は“巻き込み力”がある」と自己評価していることが往々にしてあります。しかし、それは良い意味の「巻き込み力」ではありません。

リーダーに「巻き込み力」が大事なことは間違いありません。ただしその中には良いものと好ましくないものがあり、さらに自分の「巻き込み力」を勘違いしていることがあります。
今一度、自分自身の「巻き込み力」を見直してみてはいかがでしょうか。


2018年1月15日月曜日

「社会人インターンシップ」があれば就職・採用は大きく変わる



“「大人のインターンシップ」は効果があるか”という記事がありました。
始めに日本マイクロソフトが2018年2月から始めると発表した、高いスキルがあるのに出産や介護、夫の海外赴任などで離職した女性に対して、数カ月間試しに働いた上での再就職の検討を勧める“リターンシッププログラム”が紹介されており、他にも女性、シニア、若者の再就職にあたって、様々な形での就業体験、インターンシップの制度が紹介されていました。
勤務先の許可を得て他社の仕事を体験することで、人材育成の一環とするような制度もあり、記事では社会人を対象にしたインターンシップは、参加者と受け入れ先の双方にメリットがあり、成功例が広まれば、一気に普及が進む可能性もあると結ばれていました。

私も学生に限らず社会人でもインターンシップなどの就業体験を通じて、事前に勤務先候補の企業との相性を測ることは、とても意義があることだと思います。
試しに働いてみることで、実際の仕事内容だけでなく、その会社での人間関係やプライベートな生活リズムの変化までを体験することで、入社後のミスマッチを減らすことは間違いありません。

これは私がかつて独立する際に思っていたことですが、なぜ転職でなく独立を選んだかと言えば、複数の企業を相手に仕事をするパラレルワークがしたかったからということがあります。その理由は、仮に転職という形を考えたとき、私の専門分野である人事という仕事は、企業理念や企業風土が明確に反映されるところがありますが、その企業の内面まで含めた理念や風土と自分の価値観が合うのかどうかを、就職活動という中だけで判断できる自信がないということがありました。

多少のギャップがあるのは当然で、それを埋めるくらいの許容度は持っているつもりでしたが、もしもそれが自分にとって大きすぎたとき、我慢して勤め続けるのではせっかくの転職の意味がないですし、簡単に辞めるのではお世話になった会社に失礼だし、自分の職務経歴上も好ましくないし、就職活動を繰り返すことの無駄も考えていました。

その結果として自分で独立するという道を選び、どうにかこうにかやってきながら今に至る訳ですが、もしこの頃にインターンシップのような制度があったとしたら、自分の考え方はずいぶん違っていただろうと思います。少なくとも選択肢が増えていたことは間違いありません。

転職が一般的になった昨今ですが、就職先を決めるということが、自分の人生の中で重要な判断であることは、今も昔も変わりません。
しかし、一般的な就職活動、採用活動というのは、お見合いをして数回デートしただけで結婚するようなものですから、実は結構ギャンブル的な要素があります。これは企業側でも同じです。
ここにインターンシップのような仕組みがあったとすると、ある程度の交際期間を経て、お互いが納得した上での結婚になりますから、これは働く側にとっても会社にとっても悪い話ではありません。

少なくとも、これからの就職活動、採用活動は、今までとは大きく変わっていくことだけは間違いないだろうと思っています。


2018年1月12日金曜日

「消える仕事」にしがみつかず、「生まれる仕事」に順応する



ここ最近、技術の進歩のよる機械化、自動化、IT化によって、思いがけない仕事が消えると予測され、そのことを心配したり悲観したりする話をよく聞くようになりました。自分がたずさわってきた仕事、苦労して資格を取った仕事、たくさんの経験を積んできた仕事がなくなると言われれば、そういう気持ちになるのは当然のことと思います。

そんな中、最近見たコラム記事に「今後10年で生まれる“未来の仕事”」というものがありました。
21の職業が挙げられていて、一部を紹介すると、今後5年で生まれる可能性があるものとして、
・人工知能(AI)事業開発責任者
・エッジコンピューティング専門家
・散歩・会話の相手
・フィットネス・コミットメント・カウンセラー
・AI支援医療技師
・人間と機械の協働責任者 など。

さらに今後10年で生まれる可能性のある職業として、
・仮想店舗シェルパ(案内役)
・個人情報ブローカー
・個人記憶キュレーター
などが挙げられていました。

これらが具体的にどんなことをするのか、名前だけでは今一つわかりませんが、これらの共通点として
・人々を支援することが重視される。
・健康と福祉の重要性が増す。
・人と機械、現実と仮想など、複数の世界の橋渡しが重要になる。
とありました。

どんなに技術が進歩しても、人間が人間的な関わりを欲することに変わりはないとのことでした。

実はこの話は電車に乗りながら見ていたのですが、例えば鉄道の世界で「消えた仕事」を考えると、ずいぶんたくさんのことがあります。
乗車券を手売りする人や、改札で切符を切る人はもうずいぶん前からいなくなりましたし、車内検札もなくなりました。券売機すら台数が減り、どの駅でもほとんどが機械による自動改札です。今はホームドアを設置する駅が増えているので、ホーム監視の仕事も減っていくのでしょう。

では、それで駅員さんがやることがなくなったかといえば、決してそうばかりではありません。新たな機器の不具合には対応しなければなりませんし、案内や救護、問い合わせなど、様々な乗客対応は相変わらずしなければなりません。駅の掃除なども技術的には機械でできそうですが、今でも結構な範囲を手作業でしています。今のところはたぶんそれが一番効率的なのでしょう。

「消えた仕事」は確かにありますが、その一方で新たに「生まれた仕事」や、別の内容に「入れ替わった仕事」がたくさんあります。少ない人数で回せるようにはなっているのでしょうが、日本の場合は人口も減っていくので、多くの人がどんどん仕事を失っていくような状況にはならないでしょう。

こうやって考えると、「消える仕事」を心配したり、いかにしがみつくかを考えたりせず、「生まれてくる仕事」にはどんなものがあるのか、それにどうやって順応するかを考えた方が得策だと思います。
さらに言えば、そんなに根を詰めて考えなくても、自分ができる仕事は必ず何かあり、そこへ自然と移り変わっていく人が大半なのではないでしょうか。

「消える仕事」と同じくらい「生まれる仕事」「入れ替わる仕事」があります。「消える仕事」にしがみつかずに、「生まれる仕事」に順応することを考え、さらにそのことはそれほど心配しなくても良いと思っていますが、ちょっと楽観的すぎるでしょうか・・・。