2017年11月24日金曜日

ファミレスの休業日導入で思う「休まないこと」が当たり前になっている怖さ



ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」の運営会社であるロイヤルホールディングスは、2018年から元日と5月、11月のそれぞれ1日ずつ、計3日間の一斉休業日を設ける方針を固めたという記事を目にしました。
社長は「休んだ分の売り上げはなくなるが、従業員が働きやすい職場になることで、お客様の満足度も上げられると判断した」とのことでした。

実はこの話を目にしたとき、私は「ファミレスには定休日がない」ということは、あらためて「そういえばそうだ」と気づいたというのが正直なところで、これまで一度も意識したことがありませんでした。
確かにどこのどんな業態の店でも、一日中閉まっているところは見たことがないですが、「休業日がない」ということについて、強く恩恵を感じていたというほどではありません。休まずに営業し続けることは相当に大変なはずですが、その大変さが顧客にはほとんど伝わっていないように感じます。
数年前から24時間営業の廃止や営業時間の短縮がおこなわれていることは認識していたものの、「いつでも営業している」ということが、それくらい当たり前の認識になっていたということです。

このことを働く側の人たちの立場で職場環境として考えたとき、いくらシフトで回しているとは言っても「休業日なし」が当たり前の認識になっているということは、かなり大変なことではないかと思います。

最近になって、安い商品、安価なサービス、その他安さや便利さの裏には、必ずそれを引き受けている人たちの存在があるということが認識されるようになってきました。それは多くの場合、現場の末端で働く人たちの長時間労働や安い賃金によって成り立っているといわれます。立場の弱い人ほど、そのしわ寄せを引き受けざるを得なくなっています。

これは別の記事で見たことですが、個人経営の飲食店はこのところどんどん減っているそうで、その理由として、やはり経営的に厳しく長時間労働にならざるを得ないことや、仕事自体も大変できつい労働環境になりがちなことから、後継者がいないままで経営者の高齢化が進み、店を閉めざるを得ないケースが多いのだそうです。
古くからある店の閉店を惜しむ声はあちこちで聞きますが、ではそういう人たちがその店をいつも利用していたのかといえば、決してそうではありません。お客は安さや便利さを優先して、大資本のチェーン店などに流れてしまいがちになり、そうやってお客がいなくなってしまえば店は続けられません。

ここ最近いろいろな取り組みが進められる「働き方改革」では、企業は高生産性や高付加価値を、働き手は過重労働や働き方の制約から解放された余裕ある働き方を目指すものですが、ともすればこれらはトレードオフの関係になってしまうものです。

もしも立場の強い者が自分たちの都合ばかりを押し通そうとすれば、どこかで誰かがそのしわ寄せを受け止めなければなりません。みんなが少しずつの不便や不都合を許容して受けとめなければ、それに見合うメリットも享受することはできません。
「ファミレスは年中無休」など、今まで当たり前だと思い込んでいたこともゼロベースで見直していかなければ様々な改革は進みませんし、一部の人たちだけが負担を受け持つことになりかねません。それでは長続きさせることもできません。

本来はすごく大変なことであるにもかかわらず、それが当たり前だと思い込んでしまっているのは、とても怖いことだと感じています。


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