2017年11月13日月曜日

学校も企業もなぜ黒い髪色にこだわるのか?



女子高生が髪を黒く染めるように強要され、それに関する学校の差別的な対応で不登校になったという話題があってから、最近は新聞記事やテレビ番組の中で「髪色の差別」を取り上げたものをよく目にするようになりました。

ある新聞記事では、地毛が茶色いといったことから、受験や就職といった人生の節目になるたびに面倒な思い、嫌な気持ち、黒染めの強制にぶち当たり、反発しても結局は通用せず、これが現実だとあきらめている様子が書かれていました。
またある日見ていたテレビ番組では、出演していたハーフタレントのほとんどが、特に学校などの教育の場で何らかの問題に出会った経験を語っていて、それほど執拗に指導と称した強制がされているのだと知りました。

今回の話題の発端となった学校では、仮に金髪の留学生が来ても規則だから黒く染めさせるなどと言っていたようなので、私はもうあきれてものが言えませんでしたが、そこまでではなくても「地毛証明」なるものは全国各地の学校にありますし、なぜ教育現場でそこまで髪色に執着するのか、なぜ化粧や服装とは違う生まれつきのことまでとやかく言うのかは、理由がちょっと理解できずにいます。
かつては不良や非行の象徴のようなイメージがあったかもしれませんが、今はもうそんな時代ではありません。教育現場での必要以上のこだわりは、このあたりの凝り固まったイメージが原因かもしれません。

これは、私がかかわる企業の採用、学生の就活の場面でも、似たようなことがあります。
就職活動の場面では、私も学生とはいろいろなところで接しますが、そういう中で違和感を持つような変わった髪色の人には今まで出会ったことがありません。ただそれは学生が自主規制しているということでもあるでしょうし、もしも私の目の前に金髪の日本人学生が面接に現れたとしたら、きっとあまり良いイメージでは捉えられないと思います。多くの企業側の担当者は似たような感覚ではないでしょうか。
そしてそこでは、もしかしたらその人が地毛かもしれないといった発想にはならず、そういう意味では私自身もこの「髪色の差別」に加担していたのかもしれないと思っています。
ちなみに私の娘は今年就職活動をしていましたが、ほんのおしゃれ程度に染めた栗色の髪でも、会社行事があると黒く染め直したりしていましたから、やはりどこかに無言の圧力があるということでしょう。

会社によっては、今でも黒い髪色を求めるところは確かにあり、堅い業種の会社や一部の接客業などでそういう話を聞きますが、では髪色が黒くないとそれほど業務に差し障るのかといえば、そこまでの説得力がある会社は少ないと思います。

こうやって髪色に関わることに注目していると、なぜそんなに髪の黒さにこだわるのかということが、少し疑問に思えてきます。

例えば見た目の印象の問題だとして、太っている人や痩せている人に「標準体型にしろ」と強要することは、芸能人やモデルのような特別な仕事の人でもない限りは言われないでしょうし、特に髪の毛のことだったとして、例えば薄毛の人に「カツラをかぶれ」と強制はすることはほぼないでしょう。体形は急に変えられるものではないですし、薄毛も自分の意志でそうなった訳ではありませんから、そういう強制は不合理だと思うからでしょう。

こういうことを言い出すと、例えば服装や髪型、化粧やネイル、さらにはタトゥーや整形まで、身なりに関することはキリがなくなりますが、仕事によっては避けた方が良いものがあるのは確かです。
食べ物を扱う、衛生上の問題、指先を使うといったことで身なりに制約がある仕事の話は聞くことがありますが、そういう合理的な理由があるならともかく、この黒い髪色については、合理性が低いのにこだわりが強いという不思議な印象です。結局はそれほど感覚的な問題だという一つの証明でしょう。

こういうことは、これから少しずつ捉え方が変わっていくものだと思いますし、直接かかわる人たちが意識を持てば、この変化を早めることはできるはずです。
特に最近の企業では、「多様性を認める」「ダイバーシティ」と口では言っているにもかかわらず、いざ実行するとなると難しいのだということを実感しています。


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