2016年11月16日水曜日

今の40代、50代は本当に「長時間労働」を肯定しているのか?



電通の過労自殺事件をきっかけにして、今まで以上に長時間労働対策の取り組みが声高に言われるようになりました。

たまたまツイッターを見ていたところ、スタジオジブリの作品である「紅の豚」でのセリフの中に、「徹夜はするな。睡眠不足はいい仕事の敵だ」という言葉があるそうで、今まさに取り上げるべき名言だとして拡散されているようですが、こんなことを見ても、多くの人が関心を持っている様子がうかがえます。

長時間労働には様々な要因があり、何か一つを対策すれば良いというものではありません。多くの立場から多くの人が総出で、いろいろな取り組みをしなければ改善されないことだと思うので、関心が高まってくるのは良い傾向だと思います。

こんな流れの中で、ちょっと気になっていることがあります。
長時間労働の元凶の一つとして、40代、50代のビジネスマンが、自分たちの若い頃の働き方をそのまま肯定して、その考え方を今の若い社員に強いているというような論調があることです。

私も年令は50代ですが、社会人になった当初から残業は嫌で、仕事をいかに早く終わらせるか、いかに早く帰るかということばかりを考えていました。
運が良かったこともあるのか、今までただ時間を浪費するような仕事に出会った経験はあまりなく、もちろん作業量が多かったり、期限までがタイトだったりというような仕事はそれなりにありましたが、それでも「早く効率的に仕事をする」ということは、何とか貫くことができています。

これは、うまくできたかできなかったかは別にして、40代、50代といった世代の多くの人たちは、基本的には私と同じような気持ちでいたのではないかと思います。環境的に許されずに、長時間労働をせざるを得なかったという人の方が多いのではないでしょうか。

ただその一方で、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざがあるように、長時間労働で自分たちがつらかったこと、苦しかったことを忘れて、それがいかにも自分のプラスになったとばかりに、他人に強いているような人がいることも確かです。
40代、50代といえば、今の経営の中枢を担う人も多い世代ですから、その人たちがこのような発想をしているとすれば、ちょっと憂鬱な気分になります。でもそれは、確実に多数派ではないと思います。

「長時間労働の元凶は40代、50代」という話は、ごく一部にそういう考えの人がいるだけで、世代全体の話ではないと思います。
「俺たちもやってきたから、お前たちも・・・」などという考え方は、古い体育会のような封建的な考え方で、今はもう通用するものではありません。
そもそも20年以上も前の経験を持ち出して、今にそのまま当てはめようとすること自体が時代遅れで、競争力を失っている元凶でもあるはずです。そんなことは、多くの40代、50代の人は理解しているはずです。

前面に立てる立場である40代、50代の人たちの中の、良識ある多数派がもっと行動すれば、長時間労働の問題はもっと良い方向に進めることができるのではないかと思います。

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