2016年7月8日金曜日

副業の許可申請は必要か?、それとも不要なのか?



このところ、社員の副業を認める企業が増えてきました。私の知っているある会社では、「専業禁止」を理念にしているところもあるくらいですから、この動きはこれからも大きくなっていくのだろうと思います。
最近では、ロート製薬が副業を容認するとして話題となりましたが、他に日産、富士通、花王などの大手企業でも、以前から副業を認めていたのだそうです。

ただ、実際に副業をしている人がたくさんいるかというと、まだそこまでに至っている段階ではないと思います。
マイナンバー導入時に、「副業が会社にばれてしまう」という話題が取り上げられたりするように、副業を認めていない会社の方がまだまだ多いでしょうし、実際に副業を認めている会社でも、事前申請や会社の許可を義務付けているところがほとんどですから、許可されない可能性があるとしたら、あえて副業などには手を出さないか、やるとしても会社に隠してしまうかのどちらかになっていることも多いのではないでしょうか。

ここで、「副業の許可申請は必要か?、それとも不要なのか?」という話になるわけですが、私の以前の経験では、こんなことがありました。

もうかなり昔の話なので、当然副業などは認められない頃のことですが、ある会社の社員が、社内でネットワークビジネスの勧誘をしていたということがありました。実際に契約した人はいなかったようですが、社員相手に副業をしていたことには違いありません。

ここでネットワークビジネスのすべてが悪いとは言いませんが、トラブル事例の多さや悪徳商法の温床にもなりかねないことから見れば、個人的にはあまり好ましいビジネスの形態だとは思えません。同じ感覚を持つ人も多いでしょう。仮に副業解禁だとしても、会社としては認めないことが大半ではないかと思います。

ここから思うのは、「どんなに禁止されても、結局やろうとする人はやる」ということです。
副業を解禁すれば、会社が新たに心配しなければならないことはたくさん出てきます。本業がおろそかになる、本業との競業などが一番多く言われますが、どんなに厳密な許可申請の手続きをしても、不正をする人は確実にいるでしょう。
逆にきちんと会社の本業をやりながら、副業に取り組んでみようかと真面目に考える人たちにとって、厳密な許可が必要になることは障害でしかありません。

他に、副業としてやりやすいと思われるネットショップのような事業でも、例えば自分の本業の地位や権限を利用して、部下などに暗に購入を強要したりというようなことはあり得るでしょう。
事前の許可申請については、これが不要とまでは言いませんが、厳格にしたとしても不適切な副業を食い止める効果は少なく、逆に副業を始めようと考える人の足かせになって、せっかく解禁したのに有名無実となりかねません。

副業を解禁するにあたって私が思うのは、副業を営む際の不正行為を会社としてしっかり定義して、その違反者に対しては毅然とした態度で臨むということに尽きるということです。
入口では最低限の必要な確認だけ行うことで誰でも参加しやすくし、そのかわりルール違反を犯した場合は懲戒解雇まで含めた厳格な対応をするということです。

せっかく進みつつある副業解禁の流れであり、社員が副業を持つことのメリットは、私は本人にとっても会社にとっても大きいと思っています。
「許可は緩やかに、運用の不正には厳しく」ということが、制度の有効活用と活性化のためには良いのではないかと思います。


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