2016年5月4日水曜日

「伝えたい」と「知りたい」を刺激すればコミュニケーションが生まれる



あるテレビ番組で、「子供しか入れないお菓子屋さん」の話題を目にしました。

本店の横に、小学生以下限定で大人は入れない店舗があり、その中ではお菓子の製造工程が見られたり、目の前で焼きたてのお菓子を焼き上げてくれたり、ゲームで当たるとシールがもらえたりと、入店した子どもたちにしかわからないサービスがあるそうです。

お店のオーナーがこの場所を作った理由は、この店の中で何が売られているのか、どんな風になっているのかということを、大人が知るには中に入ることができる子供から聞くしかなく、そうすれば、大人と子どもがコミュニケーションを取るきっかけになると考えたからだそうです。子どもの「伝えたい」と大人の「知りたい」を生み出して、昔の町内会のようなコミュニケーションを復活させたかったのだそうです。

私がいろいろな会社にうかがう中でも、課題として挙げられることが最も多いのは、コミュニケーションに関することですが、この話からあらためて考えてみると、この「伝えたい」と「知りたい」が両立していないことがほとんどであることがわかります。

・社員があまり信頼できない上司に「伝えたい」とは思っていない
・自分のミスや不手際などできれば言わずに済ませたい「伝えたい」とは思わないようなことである
・お互いが自分のことで精いっぱいで、相手のことを「知りたい」と思う余裕がない
・そもそも上司や部下など、相手のやっていることには興味がなくて、「知りたい」と思っていない

などということがあるでしょう。

さらに、部下は現場で起こっている苦労を「伝えたい」のに、上司はその結果だけが「知りたい」など、思いが食い違っていることもあるでしょう。

これを少しでも改善するには、このお店のように、何か工夫をすることが必要です。言いづらいことを頑張って伝えたら結果的に良かったとか、興味がなくても聞いているうちに興味深い情報が得られたとか、そういう経験があればそれが「伝えたい」「知りたい」のきっかけになるでしょうし、伝えること、知ることの行動自体に何かインセンティブが設けられていれば、それが「伝えたい」「知りたい」につながっていくこともあるでしょう。

コミュニケーションは、無理やりやらせようとしてもなかなか効果は上がりません。会議体を作る、面談を実施させる、ITインフラを作る、報告を義務付けるというようなことでは、うまくいかないことも多いと思います。その理由は「伝えたい」と「知りたい」を、均等に生み出していないからだと思います。

ただ、このお店の例を見ていると、何か人の気持ちを刺激する仕掛けがあることで、そのきっかけを生み出すことができそうです。親子間のようにはいかないかもしれませんが、組織作りのためには、こういうことも考えていかなければならないのだと思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿