2016年3月4日金曜日

「女性活躍」を“特別なこと”から“普通のこと”に



「女性活躍推進法」がいよいよ4月から施行されますが、そんな中で「カルビーの女性活躍がなぜ最高益を生み出したのか」という記事を見ました。

2009年6月に経営トップが代わり、その就任当時には社員の男女比1対1にもかかわらず、女性管理職比率は5.9%だったそうですが、「女性の活躍なしに会社の成長はない」というトップの強い信念のもと、5年後の2015年には女性管理職比率が19.8%となり、5年間で3倍以上に急伸したのだそうです。

また、女性管理職の増加とともに売上高は2010年から毎年100億円ずつ伸びる右肩上がりとなり、直近の利益も過去最高益となっているのだそうです。

記事には、その女性活躍のための取り組みがいろいろ挙げられていましたが、カルビーはもともと女性比率が高く、実力がある女性はいたようですが、ではみんなが役員になれたかというと、人事には時の運もありますし、やはりダイバーシティ推進の取り組みがなければ、そうはならなかったのではないかということでした。

とにかく経営トップの一貫した姿勢が大きく、「会社の成長のためには女性が活躍することが重要である」というメッセージを発信し続け、女性活躍に協力的でない役員や管理職に対しては、「なぜ女性を登用しないのか」と厳しく言い続け、女性登用は当たり前のこととして、もし女性管理職候補がいないのであれば、それは育ててこなかった自分たちが悪いのだと、トップと同じ意識を部下たちにも問い続けたそうです。

また、他社で見られる女性管理職候補者が続かなくなってしまう現象も、事業本部から常に後継者候補を挙げさせて共有することで、そういう人たちの育成機会が増えるような取り組みも行っていったそうです。

私はこの記事を読んでいて、「素晴らしい取り組みであるし、他社も参考にして世の中全体に波及していけばよい」と思ったのと同時に、それよりも強く思ったのは、「ここまで手厚く継続的に手間をかけなければ、女性が力を発揮する環境が作れないのか」ということでした。

私のこれまでの考え方としては、あまり男が女がなどと言いすぎず、本当に女性が不利益を被る部分だけを直していけば、女性が活躍できる環境は自然にできてくるだろうと思っていました。

ただ、紹介されているカルビーの取り組みでも、少なくとも5年はかかっている訳ですし、そう考えると、やっぱりビジネスの世界はまだまだ男性中心で、出産や育児などのライフイベントにキャリアが大きく左右される女性の立場は、どうしても弱くなりがちだということです。
そんな現状を変えるには、相当のテコ入れと意識改革をしなければならないのだということを、あらためて思いました。
それこそ始めは“えこひいき”と言われるくらいに、女性を盛り立てることをしないと、普通の状態にはなっていかないのかもしれません。

私は、男女問わずにそれぞれ個人個人が、自分の望む働き方が実現していける社会になれば、それが一番望ましいことだと思っています。
ただ、現状では「女性活躍」はまだまだ特別なことのようです。早くそれが“普通のこと”になる日が来ればよいと思います。


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