2015年12月16日水曜日

「女性が働きやすいオフィス」の調査結果から思い当たること



はたらく未来研究所という機関が、女性社員と経営者に実施した「働きやすいオフィスのあり方について」の意識調査の結果を目にしました。

首都圏の従業員数50人~500人の中小企業を対象としたもので、この調査によると、経営者の60.5%が「女性が働きやすいオフィスをつくるための経営努力をとてもしている・まあまあしている」と回答している一方、女性社員の66.5%が「まったく努力していない・あまり努力していない」と感じているとのことで、両者に意識のズレがあることがわかったということでした。

オフィス環境というのは、良くも悪くも経営者の好みや考え方が、比較的大きく反映される部分ですが、この結果を見ながら、思い起こしたことがあります。

私の知人のある社長は、とにかく気取ったことが苦手で、お酒を飲みに行くのも赤ちょうちんのようなお店にしか行かないような方でした。お客様をご招待するような場面でも、それは変わりません。
ですから、オフィス環境もシンプルそのもの、何の飾り物もなく、執務スペース以外は必要最低限、、昔ながらのグレーの事務机と書棚が並んでいるような会社でした。

その一方では、これとは全く正反対で、とにかくオフィス環境にこだわる社長がいました。予算が潤沢にある訳ではないので、何でも手作りの要素が多かったですが、自分でデザイン画を描き、イメージに合うデスクやイスを探し歩き、受付カウンターやリフレッシュスペース、会議室などの作りにもこだわります。

どちらも同じ業界の会社で、企業規模や業績も似通っていましたが、大きく違うことが一つだけありました。前者の社長の会社は、実は女子社員が事務職の女性ただ一人、逆に後者の会社は、女性比率が半数を超えていて、どちらかというと男性社員の定着に悩みを持っているような会社だったということです。

どちらの会社も、女性を排除したり、逆に優遇したりということはなく、ごく一般的な採用活動の中で人材を求めていましたが、どうも最後まで選考に残ってくる人材も、入社後に定着していく人材も、大きく異なっていました。

今回の調査結果と、まさに合致しているわけですが、ここからわかるのは、オフィス環境の作り方によって、そこに集まる人材の質が変わってくるということです。
これを逆手に取って考えれば、欲しい人材に好まれるオフィス環境を作り込んで行けば、それに見合った人が集まってくる確率が上がるということです。

おしゃれできれいなオフィスをあからさまに嫌がる人はいないと思いますが、例えば体育会の男子部室のような、雑然としていてお世辞にもきれいとは言えない環境でずっと過ごしてきた人にとっては、何となく落ち着かないようなことがあるのかもしれません。きれいさと機能を両立させながら、そんな感覚の人たちでも落ち着ける環境を工夫するということも必要でしょう。

調査結果を見ていると、「カフェテリア風のリフレッシュスペース、簡単な打ち合わせもできる食堂はよい」「休憩スペースからの見晴しが良く、気分転換が図れるのがよい」「快適な空気」「個人のスペースの広さ」「共同のスペースの充実」など、様々なものが挙がっていますが、正直言ってそれらを実現できる会社はそう多くはありません。

ただ、オフィス環境には、見た目のおしゃれさばかりでなく、他にも考えなければならない要素がたくさんあります。使っている設備、空調や採光などもありますし、もっと身近なことでは、どんな机の配置で、誰と誰を隣り合わせにするか、などということもあります。

事業内容や業績のような一般的な企業データだけでなく、オフィス環境といった部分にも目を向け、自社にとって望ましい人材はどんなオフィス環境を好むのか、そこで自社にできることは何なのかということは、常に考え続けていく必要があるのではないでしょうか。

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