2015年11月6日金曜日

「どうせ言ってもわからない」は絶対に損をする



こういうことは無いならばそれに越したことはないと思いますが、経営上の問題、顧客や社員との信頼関係の問題、個人情報にまつわる問題、その他いろいろな事情で、社内であっても公にできない情報というのは必ずあると思います。

ただ、これをどこまで伏せてどこから公開するのかという線引きには、企業風土や経営者の性格が意外にはっきり出るものです。
見ていて思うのは、その線引きがほどほどの中くらいという会社は思いのほか少なく、何でも公開することが前提で、一部問題があることだけを伏せる会社、反対にあえて公開しないことが前提で、必要と思われることを必要な人にだけ伝えるという会社のどちらかに偏っている感じがします。

私がクライアントに対して、組織風土にかかわる施策を支援する際には、前者のように「できるものは原則公開すること」を必ず勧めます。そういう会社の方が結局は業績が良いからです。

その理由を考えてみると、社内情報の共通認識が高まることで目標に向かう方向性が生まれ、それが業績向上につながるということと、業績が良いおかげで伏せておきたい不都合な情報が少ないということの両面があると思います。まさに「ニワトリが先か卵が先か」という話と同じような循環があります。

つい先日、お話をしていたある会社の社長が、「そんなことを社員に言ってもどうせ理解できない」とおっしゃいます。その社長はどちらかというと会社状況を知らせようという姿勢は少なく、何かあっても必要最低限の連絡事項を通達するだけということが多い方でした。

この日も、社員の評価に関する話題の中で、「結果をしっかり問うようにしたい」という話があり、そのためには、業績数字をはじめとした様々な会社情報を共有できるようにして、社員が現状の目標達成度などを把握できるようにする必要があるという話をしたところ、前述のような「どうせ言ってもわからない」という発言が出てきた訳です。

ここで私がお話したことは、
「確かにその通りかもしれないが、伝えなければ10人中10人とも何もわからないままであり、もしも伝えてみれば、10人のうち1人か2人でも理解してくれるかもしれない
「そうなれば、その人たちは社長の意を理解して行動するようになる
“どうせわからないから”といって伝えないことにはマイナスしかないが、“どうしたら伝わるか”を考えて伝えた方が、プラスになる要素が生まれてくる
というようなことでした。

 この話をしても、「甘い」などといって理解して頂けないこともありますし、実際に期待を裏切られたような経験がある社長は、なおさらそういう傾向があります。
 ただ、「どうせ言ってもわからない」という人ほど、その反面で「わかってほしい」という思いも強いような感じがします。わかってもらうためには、自分が伝えたいことを相手が理解できるように伝えなければなりません。

全員に同じことを望むのは無理だとしても、情報を与えればそれに応じて行動できる人材というのは、一定数は必ずいます。
「どうせ言ってもわからない」といって情報共有を軽視することは、絶対に損をするだけだと思います。


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