2015年10月12日月曜日

良い意味の「ぶち壊し」と悪い意味の「ぶち壊し」



「ぶち壊し」などというと、ちょっと物騒なニュアンスになりますが、組織においては、それが良い意味であることと、悪い意味であることの両方があります。

良い意味での「ぶち壊し」は何かといえば、固定概念や非効率な慣習、既得権といった、組織の停滞を引き起こしているようなことに対して、それを直す、修正する、変革するといったことを行うという意味でのことです。

何を守り、何を変えていくかという判断はどんな場合でも難しく、ともすれば、何でも前例踏襲で今まで通りとしてしまいがちですが、変わることに積極的でない組織はいつか必ず衰退して行きますし、私自身も実際にそういう姿を何度も見てきました。
組織作りの中で、良い意味での「ぶち壊し」は、必ずなければならない必須要件だといえるでしょう。

これに対して、悪い意味での「ぶち壊し」というのは、良い雰囲気、前向きな行動、積極的な提案に対して、まさに水を差すという意味での「ぶち壊し」です。
企業の中で見かける機会は、実はこちらの方が多く、ほとんどの場合は管理職、マネージャー、リーダーなどの中に、「やる気がない」「自己保身的」「権威主義的」といった傾向の問題人材がいて、その人の言動や行動が周囲の人のやる気や意欲や情熱を、文字通り火消しをしてしまっているということです。
これは俗にいう会社不満とは少し違って、ある個人か、少数の何人かに起因していることがほとんどです。

つい先日もある会社であったことですが、全社の営業目標として「新規顧客開拓」が設定されていて、それを何とか達成しようと、テレアポや顧客訪問、飛び込み営業を一生懸命行なっている部下に対して、「どうせ無駄だからそんなことはやっても仕方がない」と言った営業リーダーがいました。

何か違う方法のアドバイスでもするならまだ良いのですが、「どうせ既存顧客からでなければ仕事は取れないから、そちらをやった方が良い」「そもそもの目標が高すぎるから、目標には届くわけがない」などと何度も言われたそうで、それに憤慨した部下から営業部長に相談があり、その話が発覚したということでした。

その問題人材は、厳重注意されてリーダー役からも外されましたが、営業部長によると、実はその数か月前から営業部門全体の動きが鈍いという予兆があったそうで、何人かのメンバーから話を聞いたり、全体にハッパをかけたりということをしていたそうです。「おかしいと思っていたが、原因がわかった」とおっしゃっていました。

良い意味での「ぶち壊し」というのは、なかなか組織全体には波及しづらいのに対して、悪い意味での「ぶち壊し」は、それとは逆に意外にすぐに影響が出てきます。

ただし、すぐに影響が出るということは、気づきさえすれば早く直せるということです。必ず「ぶち壊し」をしている人物がいるので、常にアンテナを張って様子を観察していれば、ある程度わかるはずです。気づくのが遅れると、原因がわかりづらくなり、本当に直せなくなってしまいます。

良い意味での「ぶち壊し」はじっくりと育て、悪い意味での「ぶち壊し」は早く芽を摘むことが大切だと思います。


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