2015年9月25日金曜日

リスクへの向き合い方のいろいろ


このところ、リスクマネジメントについて書かれた記事をいくつか読んでいました。
やはり、投資にまつわる話が多いのですが、こういう世界の格言のようなものとして、「卵はひとつにカゴに盛るな」という言葉があるそうです。

卵をひとつのカゴに入れておくと、もしもそれを落としたらすべて割れてしまいますが、複数のカゴに分けておけば、ひとつを落としてもほかのカゴは残るので、被害を最小限に抑えられるということで、投資対象、時期、銘柄などを複数に分けて投資する「分散投資」を勧める言葉だそうです。

しかし、「卵はひとつにカゴに盛れ!」と書かれているものもありました。
リスクを分散するということは、その分リターンが少ないということなので、投資の絶対額が大きい資産家にしか当てはまらないことであり、少額の投資で収益を得たいならば、投資対象を見極めて「集中投資」すべきだということです。
これと同じようなニュアンスで、「卵は一つのカゴに盛り、そのカゴをよく見守れ」という言葉もありました。

リスクというのは、一般的には「危険性」という捉え方をされますが、結果が予測しにくいという「不確実性」や、変化があり得るという「変動性」の意味もあります。
ここからすれば、リスクが高いと言えば不確実で変動幅が大きいということ、逆にリスクが低いということは、確実性があって変動幅が低いということです。
リスクを取るということは、プラスとマイナスの両方の可能性を受け入れるということになりますし、マイナスのリスクを避け続ければ、リターンの可能性も限りなく少ないということになります。

こんな考え方をいろいろ見ていると、企業の経営戦略や事業戦略に関して言われていることにも、かなり共通点があると思います。
「事業の柱をいくつか作る」「顧客先を増やす」「商品やサービスの多角化」「グローバル展開や国際分業」などは、どちらかというと分散投資に近い考え方でしょうし、その一方では、「選択と集中」などということも言われ、これは集中投資のイメージになるのでしょう。

このようにあらためて全部並べてみてみると、結局はその時その時の状況判断のもとに、集中投資と分散投資のバランスを取りながら組み合わせていく必要があるということで、そんな基本的なことは、どの経営者もとっくにわかっていることでしょう。

それでもうまくいったりいかなかったりするのは、リスクを負った事業投資である限りは当然であり、その中で常に勝ち続けなければ会社は倒産してしまいますから、それゆえに経営は難しいのだと思います。

読んでいた中で、投資について書かれていたある記事によれば、日本人の場合は、「勝ったら3万円もらえて負けたら1万円払う」など、リスクの3倍以上のリターンが見込めるような条件でなければ、投資に参加しようとせず、積極的に動かないのだそうです。

投資という中で考えれば、「安全であることが最善ではない」ということで、リスクとリターンはセットになっていて、リターンを得たいならリスクを受け入れる必要があります。リスクのない行動からは価値が生まれません。

決してむやみに勝負ばかりを仕掛けるものではないと思いますが、ビジネスをしていく上では、こういうことも心得ていなければならないと改めて思います。


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