2015年8月10日月曜日

「人手不足の時代」への備えを考える



先ごろ厚生労働省から発表された、今年6月の有効求人倍率は1.19倍ということで、この一年ほどは同じ程度の比較的高水準で推移しています。
また、新卒採用でも、時期が後ろ倒しになったことでの混乱はありますが、会社説明会になかなか参加者を集められないなど、かなりの売り手市場という状況が見られています。

こんな状況とも相まって、最近はいろいろなところから人手不足の話を聞きます。建設業界やIT業界をはじめ、パートやアルバイトを活用している流通、小売りや飲食業界、それ以外にも多くの会社が人集めに苦労しています。

私も、最近は新卒採用、中途採用ともに、なかなか思い通りに行かずに困っている会社からアドバイスを求められる機会が多くなりました。
それぞれの会社では、何とか少しでも人手不足が解消できるように、人員が確保できるようにと、予算や組織体制など、採用活動に関する取り組みを強化する動きがされ、採用市場の競争の中で成果を得るために、担当者の方々は奮闘されています。

ただ、そんな従来のやり方による動き方はあるとして、「これから」ということを考えてみると、そこでは少し様子が異なるはずです。

もうすでにわかり切っていることですが、少子高齢化や人口減少というマクロ的な観点からすれば、今後は日本の就業人口そのものが減っていきます。それは、採用市場自体が縮んで行くということで、どんなにお金を使っても、どんなに努力をしても、今までのような採用活動を通じての人材確保はどんどん難しくなっていくということです。

まさに人手不足の時代に突入しつつあるということですが、漠然とそういう問題意識はあっても、具体的な取り組みを始めている会社はまだまだ少ないです。人手不足に対しては、新規採用による要員調達という「これまで」と同じやり方に偏っているように感じます。

人手不足の時代を考える中で、一般的に言われるのは、女性、高齢者、外国人など、これまで活用できていなかった潜在的な労働力を、どうやって活用していくかということですが、これに対して具体的な動きを始めているのは、見ている限りは比較的意識が高い一部の企業だけです。
それ以外の企業では、採用現場で相変わらず「リーダー格の若手男性が欲しい」などと言っていたりして、ちょっと現実の理解が足りないように思います。

さらに言えば、女性、高齢者、外国人などを活用しようというだけでは、ごく一部の人気企業を除いて、たぶんほとんどの企業での人手不足は解消されないだろうと思います。結局は現状と同じく、市場競争による取り合いになるからです。

ほとんどの企業では、ここにプラスして、業務プロセスの見直しやIT活用による省力化や効率化ということが必要になると思います。
これらすべてのことを、短期と中長期の状況を見ながら、それぞれを組み合わせて取り組んでいかなければなりません。まさに経営戦略と直結した組織戦略ということです。

「これから」の人手不足の時代は、「毎年○人ずつ採用します」などという採用“人数”計画では、もう立ち行きません。あるところで目にした情報では、今後は人手不足倒産のようなことも考えられるとありました。

あらためて、今まで以上に“人事・組織戦略”を高度化することが必要な時代になって来たのだと思います。

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