2015年7月6日月曜日

遺伝子レベルで向いていない人もいるらしい「朝型勤務」


この7月1日から、国家公務員を対象として、「ゆう活」と名付けられた朝型勤務のキャンペーンが始まったという話題がありました。勤務開始時間を1~2時間早めて、原則として17時前後には仕事を終わらせることで、残業時間を抑制して、夕刻からは趣味に取り組みなど、自分の時間とするのだそうです。

長時間労働や残業過多は、業種を問わず、大きな問題となっていますが、この解決策の一つとして位置づけられる「朝型勤務」に、国家公務員が率先して取り組むことで、これを民間企業にも浸透させたいという意図があるようです。

私自身は、まぁまぁ朝は強い方で、その方が仕事の能率が良いという実感もあるので、「朝型勤務」には基本的に賛成しています。
ただ、この「朝型勤務」には、遺伝子レベルで適応できない人がいるのだという話です。

様々な研究結果を調べてみると、朝型人間になるか夜型人間になるかは、遺伝子レベルであらかじめ決まっていることが分かっているそうです。
大昔の人類は、集団生活する上では、仲間が寝ている間に起きている人がいることで、外敵から身を守ることができました。朝型と夜型の両方の人間がいることが好都合だったようです。

しかし、現代の社会生活では、例えば仕事であれば、朝9時から夕方5時までの決められた時間帯が当たり前となっています。朝型でも夜型でも、同じリズムを求められている訳ですが、実はこの時間帯であっても、一部の夜型人間にとっては、頭の働きが鈍った状態に陥ることがあり、近年は「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」と呼ばれて問題視されているそうです。

朝型人間と夜型人間では、脳の質自体も違っていて、朝型の方が、感情を安定させ気分をよくするセロトニンやドーパミンなどのホルモンが通る神経経路が多いことが分かっているそうです。
逆に、夜型人間は、創造性や認知能力が高い傾向にあり、また冒険心が旺盛なことが分かっていて、危機的状況への反応がすばやいのだそうです。

また、朝型人間は起きてすぐに行動できるかわりに、夜型人間に比べると早く疲れてしまうことも分かっていて、朝型人間と夜型人間は、起きてから1時間後の反射速度はほぼ同じですが、10時間後になると、夜型人間の方が高いのだそうです。

研究者によると、体内時計にはDNAから作られる多様なタンパク質が作用しており、遺伝子コードのわずかな違いが、朝起きる時間に影響を与えているとのことでした。

朝寝坊は怠け者に思われたり、夜更かしは体によくない、成功者は早起き、午前の方が効率的に仕事ができる、等々、いかにも“朝型人間が望ましい”という話が多々語られます。

しかし、人による特性の違いが、このような遺伝子レベルであるとすると、「朝型勤務」へのシフトは、今まで以上に適応できない人が増える可能性があります。もしかすると、総合的な生産性が下がってしまうかもしれません。

「朝型勤務」のように、個人の生活リズムにかかわる話は、実はもっと慎重に考える必要があるのではないかと思います。

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