2015年4月24日金曜日

採用広告のちょっとの一言への反応で思った日本語のすごさ


ある会社が社員募集をしたときのお話です。

車を使って客先を巡回する仕事でしたが、、今まで普通に出していた採用広告の片隅に一言、「車の運転が好きな人に向いた仕事です」と書いたところ、これが思いのほか反響があったそうで、希望に近い候補者がたくさん集まったのだそうです。
応募書類には、ここに言及したアピールが書かれたものも多く、担当の方は「試しに書いてみて良かった」とおっしゃっていました。

少し考えてみると、車で客先を回る仕事であれば、“安全運転”、“道を覚える”といった能力が重要になってくると思いますが、「運転が好きな人」というくくりに合致する人であれば、たぶん事故は少なく、道を覚えるのも早く、仕事上のメリットは大きいはずです。これをただ、「運転免許要」とか「車が運転できる人」などというよりは、「運転が好きな人」という方が、来てほしい人の表現としては、確かに合っている感じがします。このように、言葉の表現は、それをどう言うかによって、相手の捉え方が大きく変わることがあります。

少し話がそれますが、実は日本語というのは、他の国の言葉に比べても、語彙がとても多い言語なのだそうです。
例えばフランス語であれば、1000語の単語を覚えると、日常会話の約83パーセントが理解できるそうですが、日本語の場合は、単語を1000語覚えても、日常会話の60パーセントほどしか理解できないそうです。
各国語の90%以上を理解しようとすると、フランス語なら約2000語、英語なら3000語、ドイツ語なら約5000語、日本語なら10000語が必要と言われているのだそうです。

確かに英語の“I”を日本語に表現すれば、私、俺、僕、うち、・・・。まだまだたくさんあります。他国語に正確に訳すことができない日本語が、いくつもあるという話も聞いたことがあります。

このように日本語は、同じことを言うのにも、少しずつ違うニュアンスを表現できる語彙がたくさんあり、細かな感情を表現することに優れた言語なのだと思います。

日本人は、こういう環境の中にいるために、様々な言葉の表現に敏感な感じがします。ちょっとしたニュアンスの違いを敏感に感じ取って反応する、前述の採用広告の話も、そんな部分があるように思います。

グローバル化の中で、外国語を学ぶ人が増えていますが、同時に日本語の良さも見直すことができると良いと思います。
特に、自分たちの想いや考えをアピールしなければならないとき、気持ちを純粋に表現したいとき、日本語だけに許された豊富な語彙を駆使すれば、さらに良いコミュニケーションが取れていくのではないかと思います。


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