2015年3月30日月曜日

「10年後になくなる仕事」という記事に思う無意味さ


「10年後になくなる仕事」「10年後に消える仕事」、その反対に「10年後も残る仕事」「10年後も食える仕事」といった内容の記事を、ときどき目にすることがあります。

調べてみると、何かの調査結果や雑誌記事や書籍など、いろいろなところからこの手の情報が出てきていて、なおかつそれが発信された時期もまちまちという感じでした。
中には、3年前に発表された「10年後になくなる仕事」などもあって、そこからすれば、“あと7年後・・・”にカウントダウンされている訳ですが、そこに挙げられたものを見たところでは、本当に終わりが近づいているのかはまだ何とも言えません。

こういう記事を見ると、何がなくなって、何が生き残るのか、自分の今の仕事はどうなのかをついつい確かめようとしてしまいます。仮に自分の今の仕事が「なくなる仕事」と名指しされていれば、それを見る心理は不安感と危機感でしょうし、記事の論調自体も、どちらかというと不安を助長しているような感じがします。

私は、「10年後になくなる仕事」を名指しすることは、実際にはあまり意味がないと思っています。

一つは単純な考え方として、“本当にそうなるかはわからない”ということです。
なくなる仕事とされているのは、主に機械化や自動化が可能だろうと思われているものがほとんどですが、過去をみれば、例えば自動販売機のおかげで商店が無くなったかといえば、決してそうではありません。

また、必要とする人がいる限りは、それがどんなに小さかったとしても、マーケットは存在します。数は少なくなっても、今でも氷屋さんはいるし、草履屋さんも提灯屋さんもいます。それがなくなるかどうかを予測して、今から心配することにはあまり意味がない感じがします。

もう一つは、「なくなる仕事」があれば「産まれる仕事」もあるということです。
10年前から今のスマートフォンの存在を見込んでいた人はそれほど多くないはずですし、今のSNSビジネスやアプリビジネスの状況も、この数年で急速に出て来たものです。技術の進歩やイノベーションによって、これからもどんどん新しい何かが産まれ、何かが廃れていきます。そこには自分ができそうな仕事も出来そうもない仕事も両方あるでしょう。ただ、それを今から正確に予測して準備することは、かなり難しいことだと思います。

私は「なくなる仕事」と「残る仕事」に一喜一憂したり、それを今から見極めようとしたりするのではなく、変化に対応できる準備をしておくことが大事だと思います。変化の激しい時代の中で、何か狭い目標を掲げてそこだけにターゲットを絞ったり、今の状況に固執して守ろうとするなど、変化を最小限にとどめようとするような姿勢の方が、よほど危ないのではないかと思います。

実際にはなかなか難しいことなのかもしれませんが、「今の仕事が無くなったら、次はこんなことをしよう!」などと、ワクワクして考えられるようなマインドを持つことが、実は一番必要なことではないかと感じています。まずはそんな「心の準備」が、一番大切なのではないでしょうか。


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