2015年3月23日月曜日

今度は就活で「おわハラ」? 採用数ばかり追う企業姿勢に問題あり


セクハラ、パワハラならぬ「おわハラ」というものがあるそうです。「就活終われハラスメント」を略した言葉とのことです。
売り手市場となった今年の就職活動で、就活生に対して企業の人事が、「就活を終わらせてウチに決めろ」と、様々な嫌がらせをすることを指していて、最近これが問題になってきているそうです。

そのやり方は、「他社を辞退すれば、この場で内定を出す」「受けている他社に辞退の連絡を入れろ」など、内定辞退を強要するパターン、連日面接の日程を入れるなど、他社の選考を妨害するパターン、内定を辞退しようとした人に、絶対に入社するように脅すパターンなどがあるとのことです。

○○ハラスメントは言うに及ばず、モンスター○○や一方的な逆ギレなど、自分の都合を他人に強要する態度には、最近少々目に余るものがありますが、企業の採用活動の中でこういうことが起こってしまうのは、とにかく採用数ばかりを追いかける、企業の姿勢にもかなり問題があると思います。

以前ある会社であったことですが、新任の採用マネージャーが自分の評価を上げたいがために、とにかく採用予定人数の達成ばかりに注力していたことがあります。そのために、少々要件が足りない人材でも、現場を説得して無理矢理採用してしまうなど、マッチング度合いを無視したり、採用基準を軽く扱うような活動をしていました。

結果的に採用人数は達成し、マネージャーはその功績が認められて別部門に栄転していきましたが、無理な採用がたたり、その後数年でその期間に採用した人の8割以上が辞めてしまうなど、会社として大きな痛手になってしまいました。

 採用担当者に立場からすると、自分が評価される指標として、「採用人数」が最も重要という会社は多いのではないかと思いますが、私が企業の採用活動にかかわる中で感じていたのは、「採用人数」にこだわりすぎることには、あまりメリットがないということです。

ビジネス用語で、KPIKey Performance Indicator:重要業績評価指標)と、KGIKey Goal Indicator:重要目標達成指標)の違いが言われます。

簡単に言えば、最終的な定量目標(KGI)を定め、その目標を実現するためのプロセスを決め、そのプロセス毎の中間的な測定指標(KPI)が必要ということで、まずはKGIを明確にしたうえで、プロセス毎のKPIを設定することが重要であると言われます。

これに照らしてみれば、企業の採用活動において、採用人数という最終目標(KGI)はあるとして、その途中の活動を評価する中間指標(KPI)がきちんと設定されていないケースは、意外に多いように思います。

先ほどの例のように、採用数水増しのために採用基準を甘くするなどというのは、途中経過が問われなかった証明ですし、「おわハラ」などと言われる無理強いが横行するのも、企業イメージへの悪影響など、プロセス評価として考慮されていないからでしょう。

ビジネスの中で、結果が大事というのは当然のことですが、私は適切なプロセスがあってこその良い結果だと思います。特に最近、企業は社会の公器として、今まで以上にモラルが問われる時代になっています。
“適切なプロセスは何か”ということにもっと目を向ければ、「おわハラ」などというものは、自然になくなっていくはずだと思います。


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