2015年1月26日月曜日

“市場価値”だけでなく、あえて“社内価値”にも注目してみる


「会社の看板」に頼らなくても、どこへ行っても仕事ができ、成果を出せる実力を身につけて、自分の“市場価値”を上げることが必要だと言われます。

終身雇用や年功序列が崩れてきている昨今の情勢の中では、さらに強調されているように思います。また実際に危機感を持ち、自分の将来を見つめて資格を取る、ビジネススクールに通うなど、具体的な取り組みをする人も増えてきていると感じます。

私自身も独立事業者なので、基本的にはこの“市場価値”の中で生きています。自分の市場価値の有無が直接収益に関わってきますので、これを維持向上させることは、自分が仕事をしていく上での必須要件になります。

ただ、こうやって“市場価値”が強調される一方で、実際にお客様の業務に関わる中では、「その会社の個別の事情に精通する」「一般的ではないがその会社にとって有益な情報を提供する」などといった“社内価値”が必要になる場面もあります。その会社でしか通用しませんが、実務上は必要で、なおかつかなり重要なことです。

以前ある会社でうかがったことですが、社員500人ほどのその会社の総務部門に、社員カードに書かれるような情報をすべて暗記しているという人がいたそうです。
名前や所属部署、役職といったことはもちろん、社員番号、入社年月日、出身学校、住所や本籍地の都道府県、社内の部署異動の履歴などといった付帯情報にあたるようなことまでです。他社では何の役にも立たない、究極の“社内価値”と言えるでしょう。

「そんな無駄なことを覚えていたってしょうがない」「パソコンで検索すればそれで済む」などという人もいるかもしれませんが、それは会社によって事情が違うと思います。
この会社では、その方が効率が良い、便利である、その情報が頻繁に必要であるなど、何か事情があって、その必要に迫られてのことであったはずです。無駄なことを個人の趣味で覚えたわけではないでしょう。しかも、これを記憶すること自体は、そう簡単なことではありません。

“社内価値”もこうやって極めると、会社にとってその人は必要不可欠な人材です。少なくとも会社が存続している限り、よほどの環境変化がない限りは辞めろなどとは言われないでしょうし、そこで評価されたことが、その後の“市場価値”にもつながっていきます。


どこでも通じるような“市場価値”は大事ですが、本当の意味で身につけるには、それなりの運も経験も努力も必要ですし、時間もかかると思います。また、勉強することは大事ですが、それが必ずしも実務と一致するとは限りません。

一方の“社内価値”は、当面の実務で必要なことであることがほとんどです。中途半端ではダメですが、社内で一目置かれるほどに究めれば、それは立派な実力です。

危機感だけでむやみに“市場価値”を追いかけるより、目の前にあって身近なテーマでもある“社内価値”を高めようと考えた方が、結果的には自分の評価を高め、本当の意味での“市場価値”につながる気がします。
まずは、身近で実際に起こっていることに注目してみることも、大切ではないかと思います。


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