2015年1月23日金曜日

“優柔不断”より“融通が利かない”方が問題だと思う就職活動


今年から新卒の就職活動のスケジュールが変わり、採用の広報や説明会の開催は3月からになりました。これから就職活動にのぞむ学生さんは、今のところはインターンシップなどへの参加、学内のイベントなどを通じて、業界研究や企業研究をしている時期になるのだと思います。

就職活動を始めるにあたって、やりたいことが明確で、自分なりの目標や将来設計が具体的に考えることができているのであれば、それはそれで素晴らしいことだと思います。

しかし、最近よく聞くのは「やりたいことが見つからない」「何がやりたいのかわからない」など、自分が仕事をしている具体的なイメージや将来像といったものが、描き切れないことへの焦り、自己嫌悪のような声です。
中には具体的な将来像を持っている学生さんもいますが、実際にはそうではない人が大半で、就職活動を進める中で徐々にそれが見えてくるのか、もしかすると就職活動の最後の最後まで、はっきりと自覚できないような人もいるのではないでしょうか。周囲からは、「もっとしっかりと自己分析をしなさい」などという指導をされるのかもしれません。

自分の特性を自分なりに把握して、自分なりにやりたい仕事や行きたい会社を明確にするのは、確かに必要なことですが、私がこれまで採用活動で接した学生さんの中で、これがあまりにも行き過ぎている感じがする人に出会ったことがあります。

その人は、会社説明会後のアンケートに「自分が今まで勉強してきたことと合致する、御社の○○部門の××プロジェクトに興味を持ち、是非やりたいと思うので入社を希望します」と書いていました。
その後の面接の場で話を聞いても、話す内容はほぼ同じことで、「他の部門や他のプロジェクトになった場合は?」と尋ねると、「それならば入社は希望しません」と言います。

確かに自分のやりたいことは明確ですが、これを会社の立場で見れば、残念ながら「とても採用できない」となってしまいます。会社では異動も組織変更も当然のようにありますし、そもそも“プロジェクト”というのは、いつかは終わりが来る仕事です。

仕事に対する自身の希望を述べるのは必要なことですが、それがあまりにも幅が狭いピンポイントであり、なおかつそれ以外は拒絶するような姿勢では、会社にとってはただの「融通が利かない人」であり、よほど自社にフィットした専門性でも持っていない限り、採用するのは相当難しくなってしまいます。
決してお勧めはしませんが、採用に至る確率だけを考えれば、「これだけがやりたい」という人よりは、「与えられれば何でもやります」という人の方が可能性は高いでしょう。

多くの学生さんは、就職活動で自分の志望を定めるにあたって、“優柔不断であること”を悩みますが、会社にとってはその逆の“融通が利かないこと”の方が問題です。

自分の道を見定めることは、いつか必要なことですが、それが就職活動中だけでできるとは限りません。すでに就職した社会人でも、迷っている人はたくさんいますし、一度は決めたつもりでも、そのままずっと通しきれるとも限りません。

自己分析を進める中で、なかなか具体的なイメージが作れなかったとしても、特に初めのうちはそういうものだと割り切って、少し“優柔不断であること”を許容しながら就職活動にのぞんでみてはいかがかと思います。


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