2014年10月27日月曜日

あえて「権限委譲」のデメリットを考えてみる


組織作りの上で、管理者が部下に仕事と行動を任せる「権限委譲」の重要性が言われます。そのメリットとしては、
「現場レベルの正しい情報による意思決定ができる」
「意思決定のスピードが上がる」
「自己決定できることで部下の意欲が向上する」
「一つ上の立場で仕事をさせることでの能力向上」
「結果への納得性が高まる」
などが挙げられます。

一方で「権限委譲」には当然デメリットもあります。
「権限委譲された者の能力が不足していて適切な意思決定が出来ない」
「自分の評価を気にしたり、結果責任を避けようとして、全体では好ましくないような意思決定をしてしまう」
「局所的なテーマに注目しすぎて部分最適ばかりを考えた判断をしてしまう」
などです。
判断の誤りが大きな事故を招く懸念があるような職務の場合は、その性質上、「権限委譲」に向かないようなものもあります。

 「権限委譲」を実行するにあたっては、これらのデメリットも考慮する必要があります。
能力面では、問題点を早期に把握して指導していくべきですし、仕事は失敗から学ぶことも多いですから、任せたからには多少のことには目をつぶることも必要です。まずやらせてみなければ、部下は育ちません。うまく失敗させるようなさじ加減も必要になります。

このように、「権限委譲」を進めるためには、相応の環境作りと当事者の心構えが必要になります。
一般的に言われる組織原則の一つに、「権限・責任一致の原則」があります。「責任を負わせるならば、それに見合った権限を与えよ」ということですが、このバランスを欠いた権限委譲を往々にして見かけます。任せたと言いながらいちいち口出しをして、結果的に任せていない場合と、同じく任せたと言いながら、そのための環境作りが何一つされていない場合の二つです。

実際の判断を権限委譲しないのは、上司による仕事の抱え込みで部下の仕事を奪っていることですし、環境作りがされないままでの権限委譲は、ただの仕事の丸投げで無責任です。それでは部下は育ちませんし、それぞれの行為は部下育成を放棄しているのと同じことです。

デメリットという面から「権限委譲」を見てみても、そこで見えることは、結局は「適切な権限委譲をしなかったことによる弊害」という感じがいます。
こんなことからも、組織作りにおける「権限委譲」を適切に行うというのは、とても重要なテーマなのだと思います。

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