2014年10月15日水曜日

言葉のイメージが持つ難しさ


私は世間的には「人事コンサルタント」ということになっていますが、いろいろな分野でコンサルティングをしている専門家の仲間同士で、「コンサルタントという呼び名がどうにかならないか」という話題になったことがあります。

言葉のイメージとして、「偉そう」「何をやっているのかわからない」「うさんくさい」「敷居が高そう」などのネガティブなものばかりが出てくるものの、それでも自分たちの仕事を表現する言葉で、なおかつ世の中に通用するものは、結局「コンサルタント」という言葉しかなく、仕方なしにそう名乗っているという人が何人もいました。ちなみに私もそのうちの一人でした。

これに限らず、言葉のイメージや表現方法による受け止め方の違いというのは、かなりいろいろな場面で出て来ます。

「気合と根性」では受け入れづらいが、「メンタル強化」といえば、すんなり受け入れられたりしますし、相手を主語にした「Youメッセージ」よりは、自分を主語にした「Iメッセージ」の方が、相手が受け入れやすい柔らかなニュアンスになります。
自分のミッションに他人を巻き込んでいこうとしたとき、「俺についてこい」が良い場合、「一緒にやろう」が良い場合、「頼りにしている」が良い場合、「助けてくれないか」が良い場合など、時と場合と相手によって、様々な状況があるでしょう。

経営者や管理者、その他リーダーたちは、自分の意思をどんな言葉で周囲に伝えるかに神経を使っていますし、新聞や雑誌やテレビといったメディア関係、政治家や芸能人といった自分の発言が公の場に流れていく人たちも、同じく気を遣っているでしょう。

私は「人事コンサルタント」として、企業の人事施策や人事制度作りをお手伝いすることがありますが、その際に何をどんな言葉で表現するかということには、それなりに気を遣います。
「課長」が「マネージャー」だったり、「査定」が「評価」だったり、「歩合」が「インセンティブ」だったりしますが、会社によってそれぞれの言葉の捉え方が微妙に異なります。その微妙な違いを含んでおかないと、後から微妙な行き違いが生じます。その行き違いは時間の経過とともに解決されていく場合もありますし、時間が経つほど大きくなってしまう場合もあります。

これがグローバル企業であれば、それぞれの人たちの間に、母国語の違いや文化的背景による違いもありますから、さらに難しさがあるでしょう。

「○○コンサルタント」に代わってしっくりくる呼び名は、残念ながら今のところはまだ見つかっていませんが、これから良い言葉が見つかるかもしれませんし、もともとの呼び名のイメージが今後は変わっていくかもしれません。

言葉のイメージが持つ難しさを解決することは、簡単にはできないだろうと思います。ただ、少なくとも言葉のニュアンスの違いに感性を働かせ、より良い言葉を選べるように習慣づけていくことは必要なのだろうと思います。


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