2014年10月13日月曜日

「リーダー不在を嘆く人たち」に見える他者依存



「リーダーにふさわしい人材がいない」という嘆きを、いろいろな会社から聞きます。
リーダーシップというのは、人それぞれが持って生まれたキャラクターや相手との相性に左右される部分もありますし、うまく発揮するにはそれなりの難しさがあります。

リーダーシップスタイルには様々な形があり、場面によっての使い分けが必要になります。
その理論にはいろいろなものがありますが、その中の一つである1977年に提唱された「SL理論」では、リーダーシップスタイルを以下の4つに分類しています。
1.教示的リーダーシップ・・・具体的に指示し、事細かに監督する
(部下の成熟度が低い場合)
2.説得的リーダーシップ・・・こちらの考えを説明し、疑問に応える
(部下が成熟度を高めてきた場合)
3.参加的リーダーシップ・・・考えを合わせて決められるように仕向ける
(部下の成熟度がさらに高まった場合)
4.委任的リーダーシップ・・・仕事遂行の責任をゆだねる
(部下が完全に自立性を高めてきた場合)

自分が置かれた環境において、どんなスタイルが望ましいかを判断するには、それなりの経験やセンスが必要でしょう。
私もリーダーシップ研修などをやることがありますが、リーダーの役割を担うためには、小手先のテクニックだけではどうしようもないことも多く、その人のマインドや経験によるところもあります。

一定のベースを持っている人ならば、研修などをきっかけに一段レベルアップできる人がいますが、研修したからといって、すべての人がリーダー役を務められるまでには、残念ながらなりません。それなりの時間もかかりますし、かけた時間に比例して成長するとも限りません。
リーダー的な素養はあったとしても、その人の得手不得手によっては、リーダーシップを取れる分野とそうでない分野があるでしょう。

こんなことを考えていくと、リーダー役を担うということはそもそも難しいことであり、、リーダーが不足することはあっても過剰になることはほとんどないのだろうと思います。「リーダーがいない」という嘆きは、きっと半永久的に続くことなのでしょう。

ただ、この「リーダーがいない」という話の中身を見ていくと、これには二通りの場合があるように思います。、すでにリーダーの役割を担っている人が、「自分の役割を委ねることができるリーダー人材がいない」と言っている場合と、リーダーではない人たちが「自分たちをリードしてくれる人がいない」と言っている場合の二つです。

そしてこのどちらも、リーダーがいれば、かわれば問題が解決するような言い方をし、カリスマ的なリーダーを求めたりします。、「リーダー」に任せておけば、従っていれば、あとは「リーダー」がやってくれる、「リーダー」が決めてくれると考えているようですが、言い換えればこれは完全な「他者依存」です。

日本人にはお上意識が強いと言われます。リーダーをまつりあげ、リーダーに従うことで、自分の存在を保とうとします。
この度が過ぎると、リーダーが何でもやってくれると思い込み、リーダーの意向に従うので自分で考えようとしなくなります。言われたことしかやらない部下、何でも丸投げの上司などは、「他者依存」が過ぎる一端ではないかと思います。

「リーダーがいない」という嘆きが強い人、「強いリーダーシップ」を期待する人ほど、他者依存が強いことの裏返しではないかと思います。
自分自身の意識がリーダーに過度な依存をしていないかは、今一度確認しておく必要がありそうです


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