2014年7月25日金曜日

「とりあえず働いてみよう」という気持ちになるための後押し


卒業学年で留年した学生が、今春は10万人を超えて6人に1人に上るそうです。
留年理由は単位不足のほか、企業の内定を得られなかった就職留年が多いようですが、今年は、不本意な内定を断り、あえて留年して「納得できる道」を目指す学生が目立ってきているのだそうです。
景気が上向いてきている中で、「就活は来年の方がさらに有利」という意識もあるのだと思います。

実は私自身も大学の卒業時、あえて留年するという選択肢を考えたことがあります。就活がうまくいかないというより、そもそも企業に就職して働くということ自体に魅力を感じられなかったためです。なぜ朝から晩まで、大して面白そうとも思えない仕事を、命令されてやらなければならないのかと真剣に思っていました。
少しじっくり考えようとした時に、自分がどこにも属していない状況は好ましくないと思ったので、とりあえず学生でいた方が良いだろうというような気持ちでした。

そんな私も、結局は企業に就職して、社会人生活をスタートしました。「実際にやったことも無いのにやりたくない言うのは説得力がないな」と、ある日ふと思ったからです。親の心配そうな様子、周りの人からのアドバイス、その他いろいろなことを感じているうちに、そんな気持ちに変わったのだと思います。
そして現在、順風満帆とはいかないまでも、自分なりに仕事ができているのは、この時に何とかスタートを切ることができたおかげだと、今になるとなおさら思います。

「だからまずは働いてみよう!」と学生さんたちに言うのは簡単ですが、彼らを取り巻く環境を見ていると、そう簡単に踏ん切れない気持ちはわかります。

入社してやっぱり合わなかったとしたら、辞めるか我慢して残るかの二つの選択しかない訳ですが、もし辞めたとしたら、また困難な就職活動をしなければならず、なおかつ前職を短期間で辞めてスキルも未熟な人材が、前職よりも良い会社に採用してもらえる保証はありません。
今の日本の環境では、新卒採用の枠組みから外れてしまうと、就職活動がやりづらくなることは間違いなく、留年しても新卒として就活する方が良いと感じるのは無理もないでしょう。

逆に多少嫌でも我慢して勤めるとして、初めはそれなりの覚悟を持って入社していたとしても、やはりモノには限度があります。
最近はブラック企業の話題もたくさんあり、ちょっとネットを調べれば、おかしな企業の事例がたくさん出てきます。「もしも内定先がそんな会社だったら・・・」と心配し、考えれば考えるほど入社を躊躇してしまうという気持ちも、これまた理解できます。

今の世代に見られる慎重さや消極性、失敗を恐れる心理などはあるでしょうが、一歩踏み出してみようという気持ちを萎えさせるような、環境要因や周辺情報も多いように思います。もしも当時の私が今と同じような環境に置かれたら、留年という選択をする可能性が高かったかもしれません。

留年を選ぶのは悪いことばかりではありません。ただ、今のようにネガティブ情報が多いからなおさら、「とりあえず働いてみよう」という気持ちになるための後押しも、いろいろな面でもう少しあっても良いのではないかと思います。


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