2014年7月2日水曜日

学校のエアコン設置論争に感じる「やればできる」の強要


千葉市議会は、市立小中学校などの教室にエアコン設置を求める請願について、これを不採択にしたとのことです。
「トイレ改修が優先」など、主な理由は予算面のようですが、議員の中からは、「環境への適応能力をつけるにはある程度、耐える能力を鍛えることも必要だ」などという発言があったそうです。
要は「我慢させるのも教育で、やればできるということなのでしょう。

このところ話題の都議会のヤジ問題でも、「やる気があればできる」という発言があったようですが、発言者のメンタリティとしては似たようなものだと感じます。

こうした話は企業の中でもよくあることで、なかなか成果が上がらない部下に対して上司が「やる気がないからできないんだ」「やればできる」などと叱責し、「俺だってできた。だからお前もできるはずだ」などと言ったりします。

「やればできる」という人は、その根拠として自分の過去の経験を挙げることが多いようです。
前述のエアコンの件も、「俺たちの時代はエアコンなど無かったが、それでも平気だった」ということなのでしょう。さらには「すぐ熱中症になるのは体力がないからで、暑さの中で過ごせば耐えられるようになる」という感覚なのでしょう。

過去に学ぶことは大事なことですが、一方で、昔と今では環境が変わっていることも理解する必要があります。
やはり気温は年々高くなっていますし、産まれた時から空調された部屋で過ごすことが多い今の子供たちは、汗腺の数が親世代の半分程度なのだそうです。

汗腺の数は3歳までに決まると言われており、その時期までに汗をかく経験が少ないと、寒い地域で育った人と同様で暑さに弱いのだそうです。
こういうことを知れば、ただ耐えて鍛えれば改善するというには、根拠が薄いということになりますし、健康管理の上ではエアコン設置の優先度を上げる必要があるという考え方もできます。

これは企業においても同様で、上司は自分の経験が、今の環境の中でも当時と同じく再現性があるものなのかを、きちんと考える必要があるということです。

どんなことでも本当に「やればできる」のかというと、決してそうではありません。実行したからといって、必ず成果に結びつくわけではないでしょう。これはやる気についても同様で、やる気があれば成果に結びつくかといえば、必ずしもそうではありません。

やらなければできないのは間違いありませんが、やってもできないことはあります。それを「できるまでやり続けよう!」と自らの意志で続けることは良いと思います。
ただ、同じことを上司や他人が言うのは、それが論理的に達成可能という保証でもない限り、無責任なのではないかと思います。

どうも最近、根拠が薄いにもかかわらず、気合い次第で問題が解決するがごとき主張をする傾向が強まっているように感じて仕方ありません。


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