2014年6月20日金曜日

内定辞退阻止は早期退職促進?


来春の就職活動は、景気回復による売り手市場の様相です。

企業側では、内定辞退を恐れて、入社意欲を高めるノウハウを学ぶ「内定辞退防止研修」や、内々定者が交流するSNSを駆使しての引き留めなど懸命に動いているようで、そのSNSに“内定辞退予備軍発見機能”なるものを搭載するサービスもあるそうです。

内定辞退は、特に採用担当者にとっては避けたいことですから、私のこれまでの経験でも、いろいろな工夫をしてきたところです。
うまくいくこともいかないこともありますが、そもそも何をもってうまく行ったと言えるのかという基準は、ちょっと難しい気がします。

私自身の考えとして、内定辞退しそうな人に対してどんな対応をとったとしても、辞退する人は結局は辞退するものと思っていたので、そこまで積極的な引き留めをしたことはありません。どちらかというと、辞退しそうな人をできるだけ早く見極めて、早めに次の手を打って動いておくという意識の方が強かったです。

内定辞退者が出ると、採用担当者は会社から責められたりすることもあるので、できればそれは避けたいでしょうし、せっかく苦労して内定承諾までこぎつけた人を、何とか引き留めたいと思うのは当然だろうと思います。
会社の人材確保としても、内定者が優秀な人材であると見込んでいればいるほど、何とか自社で活躍してほしいと思うでしょう。
そんなことから、内定辞退阻止という意識が強くなっていくのだと思います。

ただ、これは私自身の経験で思うこととして、内定辞退阻止という意識で活動すればするほど、それが早期退職促進になってしまっているのではないかということです。結局は会社から離れていってしまう人が、会社からいなくなる時期を単に先延ばししただけ、内定辞退が早期退職に置き換わっただけになってしまうのではないかということです。

本人への期待を伝えるとか、内定者の両親なども含めて会社のことを理解してもらってファンになってもらうとか、そういう活動は絶対に必要です。でもそれは、ただ内定辞退を阻止するという目的ではなく、自社の理解をさらに深めてもらう、仕事をするイメージをより具体的につかんでもらうなど、社会人として前向きな気持ちでスムーズなスタートを切れるようにすることではないかと思います。

ですから、本音の部分で自社にフィットしていない人を、いくら引き留めたとしても、それは内定者の人生をゆがめているし、会社も無駄な先行投資をしていることになります。

内定辞退を「相性の合わない人が早めに答えを出した」と考えれば、あまり恐れすぎる必要はないのではないかと思います。


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