2014年4月18日金曜日

怒鳴る部長に真意はなかった


少し前になりますが、ある会社の部長さんに関するお話です。

この部長さん、とにかく自分の部下を怒鳴るのです。私のような外部の人間が近くにいたとしてもお構いなしです。今であればどんな事情があってもパワハラとして扱われてしまい、普通ならば通用しないだろうと思うレベルでしたが、それが何となく通ってきてしまっていたようです。

偶然その場に遭遇した時に聴いていると、話の中身は大事なことも些細なこともいろいろですが、普通に話せばよいだろうと思うことでも、何となくきつい口調で話し始め、すぐに怒鳴り口調に変わっていきます。

だいたい会社の中での怒鳴り声などというのは、必要以上によく聞こえるもので、まったく関係がない人間まで気になってしまい、社内の雰囲気もどんどん悪くなっていきます。

当然のように、この部長は周りからは避けられるような存在になっています。たぶんご本人もその状態をわかっているはずですが、自分の振る舞いは変えようとしているようには見えません。

そんなある時、この部長と直接お話する機会がありました。私がその時扱っていたテーマとは直接関係がなかったものの、人事コンサルタントの立場として話を聞いておく必要があると考え、お願いしていたのが実現したということでした。

実は私がその部長を見ている中で思っていたのは、「部下たちから嫌われるのをわかっていて、それでもあえて怒鳴るのは、何か意図している理由があるのではないか」ということでした。
話し方に問題はあるものの、言わんとしている内容は、それほどおかしなものではありませんでしたし、何か真意がなければ、あのようなコミュニケーションの取り方はあり得ないだろうという思いもありました。

そして部長とお話した結果、私の思っていたことは、すべて見事に裏切られました。別に真意などは何もなく、結局は「ただそういう人だった」ということでした。

意図していることがある訳でもなく、部下や周りから嫌われていることも、雰囲気を悪くしていることも自覚していませんでした。ただ「自分の思い通りに運ばないことに耐えられず、そうなるとつい感情的に反応してしまう」というだけのことでした。管理者になってはいけない人、組織で共に働くのは難しい人、結局はそういうことでした。

後から聞いた話ですが、この部長さんは、経歴上の実績を買われて中途採用された人だそうで、そこの会社で管理職を中途採用したのは初めてのことだったそうです。

面接という場では自分の合否がかかっていますから、怒り出すようなマイナス行為はしないでしょうし、普通にきちんと話す力があって、職務経歴もそれなりとなれば、面接だけで見抜くことは難しかったのだと思います。

その後入社してからの振る舞いに周囲もびっくりしてしまい、どう対応するかを上層部で検討していたということでした。間もなくこの部長は、退職勧奨の形でお辞めになりましたが、過去にいた会社でも同じようなトラブルがあったようです。

このことでの私の学びは、「事情を考えたり善意に捉えたりせず、ダメなものはダメだと毅然として制する態度が必要」ということです。いつも怒鳴り散らしている人なんて、どんな事情があったとしてもやっぱりダメなのです。

人を見るときには、過去の経歴、自分の常識、その他思い込みに引きずられるのは禁物だということを、あらためて肝に銘じる必要があると感じた一件でした。


0 件のコメント:

コメントを投稿