2014年2月10日月曜日

「自律的、自発的な部下」の困ること


部下を持つ立場の多くの管理職の方々は、「自律的に判断して、自発的に動ける部下」を求め、そういう人材はなかなかいないと嘆いたりします。

もしもそういう部下がいたとしたら、確かに優秀な人には間違いないでしょうが、ただこの「自律的、自発的」を、多くの部下たちが本当に実践したとしたら、上司としては、実は結構困った感じになることも多いのではないかと思います。

「自律的、自発的」ということは、裏を返せば「いちいち指示を仰がない」ということでもあります。放っておくとコミュニケーションの量は少なくなってしまいます。
これが途中経過をマメに報告してくるならば良いですが、「自分で考えて判断するタイプの部下」は往々にして、あまり経過報告をしてこないことが多いものです。

上司としては、指示した仕事の状況が今どうなっているかが、とてもわかりづらくなりますから、いちいち経過報告を求めざるを得なくなります。上司が部下に報告を求めるのは当然ですし、部下の立場では上司への報告は基本的に業務上の義務ですから、これをしっかりこなすのもまた当然のことですが、「自律的、自発的な部下」は、これを「上司に口出しされている」というネガティブな捉え方をすることがあります。こうなるとできるだけ少ない報告や、後付けの事後報告で済まそうとし始めます。

管理職の方々が「自律的に判断して、自発的に動ける部下」と言っているのは、実際には「自分が全面的に信頼している部下で・・・」という前提が付いています。そういう信頼関係が築けている部下であれば、細かい経過報告がそれほどなかったとしても、ほぼ安心していられるでしょうが、そうでない部下が「自律的、自発的」に動き始めたとしたら、マネジメントとして困るはずですし、そういう人はただの使いにくい部下になってしまいます。

これを避けるためには、報告の内容や頻度を決めておく必要があります。「君に任せているのはここまで」という線引きをはっきりさせておくことです。途中であいまいな部分が出てくることもありますが、それもやっぱりその都度決めていくしかありません。
部下の立場からすれば、初めに言われていないことを要求されると「口出し」と捉えるかもしれませんが、事前に提示されていれば、それは「口出し」ではありません。

「自律的、自発的」な部下ほど、具体的に指示されていないことは任されているものだと自己判断して動きがちです。どこまで権限委譲するのかを明確にしていかないと、ただの使いにくい部下がどんどん増えてしまうかもしれません。
「自律的、自発的」というせっかくのすばらしい素養を持った人材です。良い距離感でのコミュニケーションを取ることで、うまく育てていければ良いと思います。


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