2013年2月27日水曜日

「ワークスタイル」の捉え方は十人十色


以前「在宅勤務・テレワーク」に関するセミナーをやらせて頂いた時のことです。ちょうど震災から少し経った頃で、急激に導入機運が高まっていて、これをテーマにしたセミナーなどもたくさん開催されていました。

私自身は、「通勤に長い時間をかけて会社に行き、そこで個人作業をしているなんて無駄だなぁ」なんて思っていましたので、「今のIT環境があれば在宅勤務・テレワークは意外に便利だから、やりたい人にはやらせてればよい」という考え方でした。

ただ、セミナーの場で「在宅勤務をやりたい人は手を挙げて!」といったところ、半分近い人は手を挙げません。思いのほか前向きではないのです。

ちょっと聞いてみると、
「家で仕事をするなんて、ケジメがつかなくて嫌だ」
「自分ひとりじゃ、サボってしまう」
「お互いに顔を合わせなきゃ、仕事がしづらい」
などとおっしゃいます。
中には、「会社に行くというのが、家から出かける理由として最高だ」なんて人もいました。

やはり、新しいことをどんどん取り入れて行こうという考えがある一方で、そうではない価値観の人もいます。ただ「便利だから」というような理由だけで、何でもウェルカムに取り込んでいけるわけではありません。
パソコン、メールの世の中でも手書き文字にこだわる人はいますし、新しい方が性能も機能も良いことがわかっていても、古い製品を使い続ける人もいます。

在宅勤務・テレワークも、働く人にとっては“働き方、ワークスタイルの大変革”な訳で、今まで働きながら築いてきた価値観、職業観、仕事観に関わることです。その考え方は十人十色、百人百様、意識の幅もものすごく広いと思います。
人それぞれの価値観ですから、単純に良し悪しで言い切れるものでもないでしょう。これを集約しようということですから、難しいのは当然で、在宅勤務・テレワークの普及が意外に進まないのも、このあたりにも要因があるように思います。

やはり「ワークスタイル」の捉え方は十人十色。制度導入するならば人それぞれの感じ方、考え方をきちんと捉え、丁寧に対処していくことが重要だと感じました。


2013年2月26日火曜日

求人倍率への肌感覚


雇用状況を示す基本的な情報として、求人倍率という数字が出ます。いろいろな調査機関がいろいろな母集団に対して行っていて、倍率が上がったとか下がったとかの情報が出ますが、就職活動中の人も採用活動をしている企業も、その数字が自分たちの実感と合っているかというと、必ずしもそうでないことが多いのではないでしょうか。
求人倍率が上がったからといって、就職しやすくなった感じはしないでしょうし、逆に倍率が下がったからといって、採用しやすくなるかというとそんなことはないと思います。

私の経験は企業の採用側が中心ですが、その立場から言えば、やはり求人件数や募集人数だけでなく、採用意欲採用基準といった要素もかなり大きいです。
期限を切って必ず採用するという求人があるかと思えば、いい人がいれば採ろうかという程度のこともあります。実態を意外に大きく左右するような要素が数字に反映されているとはいえないので、実感とはズレが生じているのでしょう。

数字というのは、何に使うかによって意味が違ってくると思います。
最近、テレビの視聴率調査に関する話題で見ましたが、ドラマなどの視聴は録画によるものが増えていて、その結果、視聴率はスポーツ中継やニュースなどリアルタイムで見られる率が高いものが上位に並んでいます。
 だから視聴率は意味がないのかというとそういうことではなくて、例えば録画での視聴では、CMはほぼ確実に早送りで飛ばされて見られないので、広告の効果を測るという意味では、やっぱり視聴率なんだそうです。

こんなことから言えば、求人倍率も広い意味での雇用環境や全体傾向を測るということでは意味があるのだと思いますが、求職者や求人企業がその数字を見て一喜一憂するのは、たぶん使い方が違うのだと思います。

ちなみに、私がお付き合いしている会社は中小企業が多いですが、採用意欲旺盛な会社は思いのほかたくさんあります。求人倍率は参考程度に、あとはそれぞれの立場で頑張れば、求職者は良い企業と、求人企業は良い応募者と巡り合えるのではないかと思います。


2013年2月23日土曜日

教えてできるなら教えればよい


来月になれば、新入社員が入社してくる会社もあると思います。もうすぐ3月という今頃は、新人研修の準備などをしている担当者の方々も多いのではないでしょうか。

新人を教えるのは、社長、役員、上司、先輩、外部講師、その他いろいろでしょうが、新入社員にとってはお兄様お姉様、おじ様おば様たちということだろうと思います。当然世代は違う訳で、教える側にとっては、何かといらだつことも多いと思います。

今どきの新入社員について、良く言われることの一つに素直だが気を利かせるのが苦手ということがあります。もう少しいうとピンポイントでは気がつくが歯抜けが多い。またはアンテナの本数が少ない、感度が悪い、一方向しか向いていない、などでしょうか。

こう言うと、社会人経験のある皆さん、特に管理職世代の方々は、我が意を得たりとばかりに反応します。
「本当にその通り。いちいち言わないと動かないんですよ」
「自分たちの頃は見て覚えるのが当たり前で、いちいち教えてくれたりしなかった。今の奴らは甘い!」
「一つ教えても、ちょっと違っただけで応用が利かない」「自分たちも先輩に怒られたけど、こんなにひどくなかった」など・・・。
そして決め手のキーワードは「ゆとり教育世代だからね・・・」。これでみんな納得してしまったりします。

でもこれを聞いた新入社員たちはどうすれば良いのでしょうか。自分たちが好きでその教育を受けたわけでないし、他の世代の教育を受ける機会は無いですから比較対象もないし、こんな批判をされても「何だかなぁ・・・」と思うでしょう。

私もいつも反省するのですが、自分と違う価値観に接すると「ここが違う、あそこが違う」違いばかりに注目してしまうということです。例えば外国の文化に接して、その違いに驚いたりしますが、冷静に考えれば実は同じ事の方が多いように思います。普通は朝起きて夜は寝るし、お腹が空けば何か食べたいし、子供はかわいいし、家族は大事だし、キレイな景色はキレイって思う・・・。

私が思うに、違いを強調する人ほど、相手にきちんと向き合っていないことが多い気がします。自分と違っているから、ヘンな奴、変わっている奴、ダメな奴にしてしまって、その差を埋めようとしていません。歩み寄ってこない相手が悪いという態度です。これほど極端でなくても、新入社員の件は基本的に同じ事です。

「いちいち教えなければ動かない」ならば、まずはいちいち教えれば良いと思います。今の若い世代の人たちは、いまいち気が利かないとか言われますが、自分が意識していることやこれまでに経験したこと、感じていることにはきちんと反応できます。みんなやさしいし、言われたことは素直に一生懸命やろうとします。経験とともにアンテナは機能するようになるので、いろいろ働きかけることが大切です。それを繰り返すうちに、少しずつこちらが考えるレベルに近づいてきます。そして何年か経つといつの間にか「最近の新人は・・・」などと偉そうなことを言うようになります。

「打たれ弱い」「指示待ち」などと批判し、その原因が「ゆとり教育」だとしても、そんな違いはどうでもよいのではないでしょうか。きちんと向き合ってみれば、自分たちと同じ事や、場合によっては自分たちより優れたことも多いのではないかと思います。

若い人を教えるのは年長者の務めです。
“教えてできるなら教えればよい”と思います。


2013年2月22日金曜日

私が見た「厳しい就活」の「素晴らしい結果」


お世話になっている会社で、新卒入社2年目になる方が応募してきた時のお話です。
当時そちらの会社ではすでに3名の新卒者を内定していましたが、12月になってから新卒採用の事務職を1名だけ追加募集することになりました。そこに応募してきたのがAさんでした。

Aさんは、それまでに応募したのはすでに100社以上でしたが、なかなか良い結果が得られず、それでもあきらめずに活動を続けていました。事務系の仕事が自分に合っていると思い、ずっとそういう観点で活動していたそうです。

初めてお会いしたところ、まずは真面目でおとなしく、とにかく緊張しやすい人でした。それは面接中に緊張のあまり涙ぐんでしまうほどでした。たぶん面接では、なかなか評価されづらいタイプでしょう。面接の段階では、正直「難しいかなぁ」というのが本音でした。

その後この会社では、普通はあまりやらない実技試験をやります。事務職では難しい漢字や読みづらい漢字の入った文章を入力してもらい、その手際や確認の仕方、間違いの有無などを評価するのですが、Aさんはここで力を発揮します。入力も早く、難しい字も読め、確認作業もとても緻密です。面接では見えなかったところが高く評価されました。

最終面接でもやっぱり高い緊張度でしたが、初対面の人と話すという、本人が最も苦手とする事に一生懸命取り組む姿が今度は逆に好感を生み、縁あって採用、入社ということになりました。
入社後の今でも、緊張しやすいのは相変わらずですが、自分なりに着実に仕事を身につけ、すでに会社では欠かせない人材になっています。本人にとっては厳しい就活だったでしょうが、結果は素晴らしいものになったのではないかと思います。

私はこの例を持ち出して、楽観論を語るつもりはありません。昨今の就活、やっぱり厳しいものは厳しいです。
ただ私が気になるのは、最近、就活テクニックのようなことばかりクローズアップされがちであることです。面接テクニック、自己アピールの方法、書類の書き方、さらには服装から履歴書の写真うつりまで。

これには採用する企業側にも問題があるでしょう。やっぱりきれいに整った応募書類、ソツがない面接での受け答えは、確かに良い印象で捉えます。限られた時間の中ではなかなか内面まで見極められませんから、どうしても表面的な事に左右されてしまいます。これに一生懸命取り組むことも悪いことではないし、仕方ないのかもしれません。

ただ、それが本当に自分の姿を表現しているのだろうかということです。苦手なことを克服する努力も、知らないことを知る努力も、できないことをできるようにする努力も、それぞれ必要なことですが、みんな時間がかかることです。小手先で取り繕うにはやっぱり限度があります。
今の自分で何が評価してもらえるのか、それをどうやって相手に分かってもらうかを考える方が、大事なことのように思います。

Aさんのやったことは、自分の性格に合っていると思う仕事を、あきらめずに探し続けたということにつきます。1年以上の期間、100社以上にわたって続けた就職活動自体が、地道で継続的な取り組みができること、あきらめない性格、その職種にたずさわりたいという熱意を表しています。そこに偶然ではあっても、自分の得意な実務能力を表現する場があったということです。

一番の教訓は、「あきらめれば可能性はゼロだけど、あきらめなければ可能性はある」ということなのかもしれません。「続けていれば必ずチャンスはある」「続けていれば見てくれる人は必ずいる」と私は思います。


2013年2月20日水曜日

「報連相」禁止


岐阜県にある未来工業さんという会社をご存じの方も多いと思います。ユニークな経営手法で知られ、同時に高い業績もあげている会社です。

こちらの社内ルールの一つに、「報連相禁止」というものがあるそうです。業務の遂行は自分で考えて自分の判断で進め、上司への報告は必要最小限にとどめる。報告する本人が一番状況を把握しているのだから、即座に自分で判断せよ、ということだそうです。

といっても、社員を野放しにしているわけではなく、「常に考える」という同社の理念に基づいてのことで、1人ひとりが自ら考える自発性を重視したためだということです。

他にも残業禁止、年間休日140日、70歳定年、ノルマや目標もなし、提案するだけで報奨金500円の提案制度など。また給与も「評価の基準もあいまいなのに、成果主義などを入れても社員のやる気は上がらない」との理由で年功序列。成果主義の逆をいく「やる気主義」なのだそうです。
「働く上でいい条件を作れば、社員が頑張り、会社が儲かる。様々な取り組みは、『アメ』作りで、『ムチ』は決して使ってはいけない」ということです。

根底にあるのは徹底した“性善説”“社員の自律”ということで、私みたいに単純な人間は、このような会社には心から共感してしまいます。

ただ、このような手法を取っていない会社の方が多いこともまた事実。未来工業さんは理想なのか異端なのか、ちょっとわからなくなってしまいます。徹底した自律を求めているというは、ある意味では厳しいといえますし、人に自律を促すには、かなりの時間と忍耐が必要です。

また、目新しい制度ばかりがクローズアップされますが、表から見えないところでは地道で細かな取り組みや働きかけ、それらの絶妙な組み合わせがあるのだろうと思います。
やはり、ただマネをしてもダメだろうと思いつつも、このようなエッセンスは少しずつでも活かしていきたいものです。

人というのは気分で動くもの。ほんのちょっとのことで大きく変わります。何の元手もいらないで工夫できることがたくさんあります。
「やる気主義」などと言われると、私の志向している取り組みとまさにドンピシャなので、私もできることから工夫して、やる気があふれる企業風土作りをお手伝いしていきたいと思います。


2013年2月19日火曜日

震災から思う「人事」の本来の姿


あの忌まわしい大震災から、もう二年が経とうとしています。
多くの方々が同じだと思いますが、あらためていろいろな事を考え直しました。

私が感じていることは“人とのつながりのすばらしさと有難さ”です。被災地での助け合い、募金活動やボランティア、国内外からの支援など、ある意味当たり前とも思える「困っている人を助ける」「お互いに助け合う」ということは、実は人間しかできないということを強く感じました。

私の仕事は、企業の「人事」に関する事柄を支援することです。やはり人とのつながりにかかわることですが、人事ということを人の締め付けや支配、規制するための仕組みや道具と考える人がいます。

もちろんそういう側面がまったく無いとは言いませんが、人事の本来の目的、原点に返れば、「会社がいかに業績を上げて、会社にかかわるみんなが少しでも良い生活をするには、そこに属する人の扱いをどうすれば良いかを考える」ということのはずです。
そうだとすれば仕事は面白い方が良いし、居心地は良いに越したことがないし、お互いの信頼関係がある方が良いはずで、決して主従関係支配関係規制されたり強制されたりということでは無いはずです。

こんなことを言うと「すべての人に良い事なんてあり得ない」「そんなの理想論だ」と言われるかもしれませんが、私の立場では、やっぱり人事に専門に取り組む者として理想を追わなければならないし、そうなるように支援することが役目だと思っています。
ゆるいとか甘いとか思われるかもしれませんが、所属する人にとって居心地が良くて、切磋琢磨しながら助け合おうと思える組織が、最終的には業績が上がる組織だと私は思います。

震災の後、今までのように売上・利益一辺倒だったり、競争を促すばかりだったり、人を排除することをいとわなかったりということが、少し減ってきたように思います。本来の人事のあるべき姿に戻りつつある気がします。

またあらためて、自分のお役目を全うできるように、できることから頑張ろうと思います。


2013年2月16日土曜日

就活はやっぱり大手志向? 中小企業への目の向け方(2)


「中小企業を後回しに」と考えて、チャンスを逃しているケースが多いので、「中小企業にも早めに目を向けてみては・・・」ということを書きましたが、ではなぜそうなのかというお話です。

前回書いた通り、昔は大手の採用が決まってから中小が動き出す、なんていう傾向がありましたが、今は採用に積極的な中小企業はどんどん動きます。
中小企業は一社ごとの採用数が多くありません。3名、5名というような採用枠で動いている会社が大半です。ただでさえ採用枠が少ない中小企業がどんどん採用内定していくわけですから、大手の結果を見ながら徐々に中小へ目を向けるのでは手遅れになりかねません。

また、「大手の採用基準は厳しくて中小は甘い」「大手が高くて中小が低い」と一般的には思っていますが、必ずしもそうではありません。
例えば、ある大手企業で50名の枠があるとして、採用数5名の中小企業なら10社以上に応募しなければ50名の枠にならない、という計算上の採用枠があります。

1社の応募にかかる労力はそれほど変わりませんから、応募する側からすれば活動効率が悪いということになりますし、採用数が多い方が何となく確率も高いように感じてしまいます。ただ、これを求人倍率に変えて見てみると、一部の超人気企業を除けば、それほどはありません。中小企業でも100倍、200倍なんて会社はいくらでもあります。

採用基準は、それぞれの会社によって視点が違いますから、大手で内定するような人が、中小企業で不採用になっていたなんてこともあるでしょう。

ということは、大手でも中小企業でも初めからできるだけ多くの会社をピックアップし、アクションするという事が重要になります。採用枠や募集期間のことを考えるとなおさらです。やっぱり応募する社数を増やした方が良いし、その方が可能性は上がるということになります。

ただそうは言っても、中小企業は調べていても目につきづらいし、何をやっている会社かもわかりづらいことが多いです。学生時代の経験だけで判断するのはなかなか難しいでしょう。そんな中で自分の志向に合う企業を効率よく探すには、先人であり経験者である身近な社会人(親でも親戚でも先輩でも誰でも可)から情報を得ることも、一つの手段です。

社会人であれば仕事上で多くの企業と関わりますから、意外にいろいろな情報を持っています。
「その会社の人、飛び込み営業に来たよ」
「この間のプロジェクトにその会社のメンバーがいたよ」
「その会社と同業の○○社とは付き合いがあるよ」
「その会社は○○って評判を聞いたことがあるよ」
「その業界の会社って○○な傾向があるよ」

なんていう話が聞けるかもしれません。社会人としての知識経験から参考になるアドバイスが受けられると思います。
多くのリソースを効率よく活用して、より良い会社に巡り合って頂ければと切に思います。


2013年2月15日金曜日

就活はやっぱり大手志向? 中小企業への目の向け方(1)


先日乗った電車の中で、就活中と思われる女子学生さんを見かけました。まだ始めたての様子でした。

スマートフォンでしばらく企業情報を検索していたようで、その後手帳に何かメモをしていました。チラッと中身が見えてしまったのですが、そこには誰でも知っているような超大手企業ばかり数十社の名前と、スケジュール関連の情報がビッシリと書かれていました。
化粧品と美容、アパレル関連の会社ばかりだったので、きっとそちら方面に興味をお持ちなのでしょう。まだまだ大手志向が強いなどと聞くので、他の人も初めはこんな感じが多いのかな、などと思ってみていました。

少なくとも私自身はそうでしたが、就活と言ったって初めは何をどうしてよいかイマイチわからず、とりあえず自分が使っている製品とか、趣味つながりとか、何となく興味を持っている事とか、そんな切り口で名前を聞いたことがある会社を何となく調べていたような覚えがあります。

その当時は、大企業に希望者が誰でもエントリーできる環境ではなかったので、あまりその先には進みませんでしたが、今のようにネットから誰でもエントリーできるようになると、大手志向が強まるというのはうなずける気がします。

「中小企業にも目を向けよう」とは言いますが、やっぱり普通に考えれば「大手の方が安定している」と思うでしょうし、募集人数も一見では多く見えるので、採用される可能性が高いような気がしてしまいます。まず大手を優先してダメなら中小企業も考えるという学生さんは、まだまだ多いのかもしれません。

ただ、「中小企業を後回しに」と考えるせいで、せっかくのチャンスを逃してしまっているケースが、どうもたくさんあるように感じます。
かつての中小企業の新卒採用は、学生さんの大手志向を前提に、「大手の活動が終わってから」と考えるところも多かったですが、今は随分違います。大手の動きなど関係なしに、積極的に動く中小企業がたくさんあります。やはりそんな動きの変化に、応募する側も対応する必要があると思います。

「中小企業にも早めに目を向けてみては・・・」ということです。

なぜそうした方が良いのかという理由は次回に・・・。


2013年2月13日水曜日

なぜ派遣や契約社員で不当な扱いが起こりやすいか?


今年の4月から労働契約法が改正され、有期労働契約に関するルールが変わることになりました。無期雇用への転換、一定の場合使用者都合の雇い止めが認められない、不合理な労働条件の相違の禁止などですが、逆に一定期間での契約打ち切りを助長する恐れもあり、私としては、どうなることかと心配しているところです。

派遣や契約社員の不当な扱いについては、一時期ずいぶん話題になり、今はそれほどではありませんが、それでも時々トラブルの話を聞きます。

私自身の経験としては、もっぱら企業側で派遣社員などを受け入れる立場で、来てもらっている人にはできるだけ働きやすい環境にしよう、分けへだて無くコミュニケーションを取るようにしようと意識はしていましたが、今思えばやはり正社員とは少し違う感覚で接していたように思います。

一番大きいのは、やはり遅かれ早かれいずれいなくなる、またはその可能性の高い人だということです。実際にも事情はいろいろでしたが、一定期間で関係が切れることがほとんどでした。そう考えると、持っているスキルをその場で発揮してもらうことが主になり、継続的にスキルアップを支援する対象ではないということになってしまいます。また派遣では事前面接が禁じられていることもあって、受け入れ時のチェックは緩くなりますが、これも何かあれば契約を打ち切れるという条件があってこそです。

業務上ではドライな関係にならざるを得ず、雇用関係でも雇いやすく辞めさせやすいようになっています。おかげで雇用機会が増えたという面は確かにあるでしょうが、残念ながら働く環境が悪化したという側面も強いように思います。正社員との様々な差が大きすぎることは問題でしょう。

解決方法はとても一言では言えませんが、私の個人的な考えでいえば、契約打ち切りなどを制限するよりは、契約打ち切り後の生活保障の費用や、再就職につながるスキルアップの費用を、もう少し企業も負担するべきと思っています。
自社で働く人の最低限の生活を守る、人を雇う責任ということでは、正社員、派遣社員、契約社員にかかわらず同じようにあるとした上で、派遣や契約のような不安定な雇用での労働者のリスクに対して、企業側のコスト負担が少ないのではないかと思います。

例えば
・非正規で働く人への賃金を相応に割高にする縛りを設ける
・雇用保険など社会保険料負担を相応に高くする
・所定の教育訓練を義務付ける
など。

他にも色々考えられると思いますし、同じような方向での対処も多少はされていると思いますが、やはり法律が絡むことは、そう簡単にはいかないのだろうと思います。

結局はそれぞれの企業が、「自社で働いている人たちのことを親身に考えていくこと」が一番大事なのではないかと思います。


2013年2月12日火曜日

就活、婚活、ビジネス、.etc-それぞれのマッチングの話


最近、「マッチング」が重要なキーワードになることが多いと感じています。
各種の就活イベントには、新卒でも中途でも相変わらずたくさんの人が来場していますし、婚活イベントもいろいろな形の企画がいろいろなところで開催されています。ビジネスマッチングを目指した交流会なども盛んですね。

ここで良い出会いがあって、良い形の「マッチング」につながった方も大勢いらっしゃるでしょうが、実際にはなかなか難しいところもあるように思います。新卒の早期離職や成田離婚などは「ミスマッチ」の典型でしょう。
私の経験(婚活イベントは経験なしですが・・・)では、どのイベントも「マッチング」につながる確率がイマイチと感じていました。結局はできるだけ多くの人と会うことしか、良い「マッチング」につながる方法がなかったように思います。

「マッチング」という話で、以前あるウェブサイトを運営している会社の方からお問い合わせを頂いたことがあります。
会社や士業と、顧客ニーズをマッチングさせるウェブ上のサービスなのですが、ユーザーから「自分たちの課題はどこに頼めばよいのか見当がつかない」という問い合わせが月に数件あるのだそうです。

その内容は、「会社の雰囲気がいまいち」とか「何となくモチベーションが上がっていない」など抽象的な事が多いらしく、サイト運営会社の方がおっしゃるには、「コンサルティング会社や士業という単純なくくりでマッチングしようとしても、どうも顧客要望にフィットせず、満足度の低いケースが結構ある。適切な専門家とのマッチングをどう進めるかが課題だ」ということでした。

私たちのようなコンサルタントの仕事は、顧客から見れば、「何が専門でどんな結果が得られるのか」「期間」「料金」などとともに、「どんな考え方の人物なのか」「自分たちとの相性はどうなのか」「信頼できるのか」など、細部のマッチングも大事になります。やっぱりわからないことだらけだと、相談したり仕事を任せたりすることを躊躇してしまうでしょう。

私は、直接お会いしてお話をしないとわからないことは解消されないし、考え方も理解されないと思うので、できるだけそうしたいと思っていますが、そこまでたどり着くのはなかなか容易ではありません。結果として、人を介してのご紹介というつながりが多くなりますが、やっぱり広がりとしては大きなものにはなりません。

コンサルタントは、それぞれの人なりに工夫して、サービスを標準化してわかりやすくしたり、書籍やコラム執筆、メディア露出などで考え方や取り組みを理解してもらおうとしたり、事例や実績をアピールしたりしていますが、やっぱり“探しづらくてわかりづらくて頼みづらい”、ということはあまり変わっていないように思います。

「マッチング」の確率を上げる方策は、実はすごく細かい一つ一つの要素にある気がします。最近は感覚的なものや細かい項目をキーにして検索できるような情報サイトが出てきていますが、使い勝手としてはまだまだこれからという気がします。一方でビッグデータなど、データの分析や活用の手法はどんどん進歩していますから、これから良い方向へ進むだろうという期待もしています。

今のところ、「マッチング」の確率を上げる方策は、出会いの数を増やすしかないということのように思いますが、わりと近い将来、もっと効率の良い「マッチング」が可能になってくるように思います。

もしも効率的に「良いマッチング」ができれば、失業率が下がり、未婚率が下がり、ビジネスの取引が増えることも考えられますね。今の社会問題がずいぶん解決されてしまいます。そう考えると、「マッチング」というのは、実はものすごく重要な事だとあらためて感じているところです。


2013年2月9日土曜日

リーダーシップが無いと組織はダメなのか?


会社で、経営者や役員、管理職のリーダーシップに関する批判が良くあります。もちろんしっかりとリーダーシップが取れる方は多数いらっしゃいますし、皆さん様々な努力もされていますが、組織がうまくいかない原因を「リーダーシップが足りない」「リーダーの能力不足」ということは多いように思います。でも本当にそうなのでしょうか。

先の震災後のことですが、私が被災地でのいろいろな人たちの活動、行動を見聞きしていて思ったことが、現場主義と現場力の強さです。
それぞれの組織やコミュニティが、それぞれのできる範囲や持ち分の中で、それぞれ力を発揮して行動していたと思います。残念ながら「国」などというレベルでのリーダーシップはあまり感じられなかったけれど、トップダウンのある意味では余計なリーダーシップに期待せず、その分現場の主体性や自己判断を活かし、それが結果的に「良いチーム」につながっていたように思います。

これを企業に置き換えた時、グローバルな企業では少し事情が違うかもしれませんが、日本人が大半の日本的な企業であれば、これと同じような動き方があります。この現場主義と現場力が、特に日本的な組織での強みだと感じます。逆に度が過ぎた現場依存となった時、これが弱みと言えるのかもしれません。

トップダウンとボトムアップのバランスは、組織作りでは永遠のテーマですが、特に日本の会社においては、いろいろな事を現場に任せる「権限委譲」をどうするかということが、組織作りにキーワードになるように感じています。
強いリーダーシップを持ったリーダーのもとに結集する組織もあれば、徹底した現場主義、ボトムアップが持ち味の組織もあります。リーダーシップは大きな問題ではあるけれど、それがすべてではありません。

私の仕事は、「人事という切り口で、活力がある組織・チームを作るお手伝いをする」ことです。これからの自分の取り組みに、こんな感覚をうまく活かしていければと思っています。


2013年2月8日金曜日

なかなか伝わりづらい経営者の想い


企業の経営陣や役員の不祥事が、ときどき報道されます。
明るみに出て来る内容を見ていると、あきれてしまうこともたくさんありますが、経営者と言われる方々がみんなそうである訳がなく、どちらかというとそんな話はごくごく少数で、世の中の経営者の大半は、真面目で地道に事業を行っている方々です。私もいろいろな方とお付き合いしますが、そんな不正を働くような不誠実な人に出会ったことは、まだありません。

皆さん本当に真面目に会社のことを考え、少しでも会社を良くすることが社員のためになると考え、懸命に頑張っていらっしゃいます。ただ、その想いが社員一人ひとりまできちんと届いているかというと、こちらは意外にそうではないように思います。

やはり経営者は会社で一番の権力者ですから、社員からの見方は厳しいです。良かれと思ってやっていることでも、それほど善意に解釈してくれないし、本人のため、会社のためと思い、心を鬼にしての厳しさも、その真意はなかなかわかってくれません。

ご自分なりのうまい社員との距離感をお持ちの経営者は大勢いらっしゃり、私もずいぶん参考にさせて頂きますが、社員との距離感に悩んでいる経営者も、これまた多いように思います。
「こんなこともわからないのか」「こんなこともできないのか」「なぜこんなことをするのか」「なぜこんなことを考えるのか」・・・・。それでも自分なりにいろいろ考えた上での施策を打ち出しますが、やはりなかなか理解してもらえません。

ある会社でのことですが、社長さんが作られた社員向けの施策説明資料を拝見して、私は「これでは逆効果?」と感じ、なぜそうしたのかを直接説明して頂いたことがあります。私は第三者の立場なので、社員の皆さんと受けとめ方は少し違うかもしれませんが、良く話を聞けば、その背景や課題、理想像、社員の能力や性格まで、いろいろ考えた上での内容で、十分に納得できるものでした。

ただ、「今の背景の説明がなければ、社員は理解できないよね」という話で、管理職の方々も含めてもう一度意識合わせをして、社長さんだけでなく他の人も背景を理解した上で説明ができるようにしました。施策自体も意見交換して手直しがありました。どうも社長さんが自分だけで考えていたようなところがあったようです。

私も第三者の立場を利用して説明をお手伝いしましたが、いろいろな立場の人がいろいろな場面で、いろいろな角度から様々なニュアンスで説明することで、ずいぶん納得感が変わったということがありました。

今さらわかりきったことですが、「何を言うか」という話の内容にも増して、「誰が言うか」という人の部分が、納得感に大きく影響するということです。様々な立場の人が異口同音ということでも、納得感は増します。「誰が言うか」というのは、伝えるということを考える上では、とても大切な事です。

社員との距離感の取り方がうまい経営者は、他人を介しての自己表現がうまいように思います。自分がいない所でも話題に上り、悪口も言われるけど褒められもしています。
自分のことを理解して、話題にしてくれる人が周りにいることで、自分の知らない所で自分の人となりが理解されている、そんなところがあるように思います。要は直接接する人たちに認められ、好かれています。
自分も少しでもその領域に近づければと、いつも思っています。


2013年2月6日水曜日

「やる気が出ない」という理由


「なぜこんな結論になるんだ」「何でこんなことを言うんだ」など、上司や会社に憤慨してやる気がなくなったという経験は、サラリーマンであれば何かしらお持ちだと思います。私もかつては「なぜこうなるんだ!」「もっと言い方を考えられないか!」など、文句がいっぱいでした。当然やる気を失うこともたくさんありました。
今でこそ冷静にみられるようになりましたが、これは単に年齢と経験を重ねる中で、良くいえば許容範囲が広がった、悪く言えば鈍感になったということで、本質的な部分では大した進歩もしていないと思っています。

先日もある会社で、「会社のやることなすこと、自分たちにとってはみんな裏目な事ばかりで、モチベーションを保つことが難しい」と話す若手社員たちがいました。「上司や会社のせいでやる気が出ない」ということです。私も同じような経験はいっぱいありますし、本質的な“感情”はそれほど変わっていないので、気持ちはとってもよくわかるのですが、今のコンサルタントと呼ばれる立場になって、このあたりの“考え方”はずいぶん変わりました。

一つは「そういう動きや結論になるには、何か必ず相手なりの理由がある」ということ。もちろんセンスがないのかもしれないし、人の気持ちがわからないのかもしれないし、性格が悪いのかもしれないですが、そこに至った理由が必ずある訳で、その事情を知らずに批判しても絶対に折り合わないということです。

もう一つは、たとえどんな理由であっても、それが他の誰かのせいであっても、やる気をなくすことで損するのは結局は自分で、結果は自分に返ってくるのだということ。やる気をなくせばパフォーマンスが落ち、所属部門や会社の業績まで悪影響を及ぼし、業績が下がれば結局自分の給料に跳ね返ってきます。パフォーマンスが下がれば評価も下がるでしょうから、結果は同じことです。やる気をなくすのは本人の勝手であって、それが誰かのせいであっても考慮されることはありません。

ではどうすれば良いかといえば、自分のやる気が出るような環境作りを自分なりにするしかありません。こういうと「とにかく我慢しろと言うこと?」と思うかもしれませんが、決してそうではありません。

例えばなぜそうなったかの事情を聞けば、もしかしたら納得できるところがあるかもしれません。相手に自分の感情を伝えたら、理解はされないまでも少しは対応が変わるかもしれません。知らされないことや教えてくれないことを批判しても情報は得られませんから、自分から聞いたり調べたりするしかありません。やる気は個人の主観的な気持ちの問題なので、自分なりに改善、解決するしかありませんし、改善や解決の仕方は必ず何かあるはずです。

「アイツのせいで・・・」と腐っていると、最後にバカを見るのは自分です。自分がやる気をなくす原因を蹴散らしてみる努力をすることは、自分のために必要ではないかと思います。


2013年2月5日火曜日

就活中の学生さんへ


新卒者の内定率は、少し改善しているような調査結果も出ていますが、就活中の学生さんにとっては、依然として厳しい状況なのではないかと思います。
実際の選考が始まると、多くの会社に応募してもなかなか内定がもらえず、つらい気持ちになったり、落ち込んだり、自信を失ったりする方も出てくるでしょう。
私が新卒採用にかかわるのは、主に企業側の立場であることがほとんどですが、今の状況を見ながら学生さん達の気持ちを考えると、本当に大変だろうと同情してしまいます。

立場上たくさんの学生さんにお会いしますが、その中で確実に言えることがあります。それは内定が出ないからといって、決して皆さんが無能でも無用でもないということです。
実は企業側でも、本当に悩んで悩んで、それぞれの人なりに持ち味があって、良いと思う人材が何人もいて、ホントに選べない、出来ればみんな採用したい、でもそこまでの余裕はない、そんなジレンマの中で内定者を決めています。

最近は、雇用の需給バランスを欠くような状況もあるため、特に中小企業にとっては、今まで経験したことがない、とても多くの方の応募があったりします。応募された皆さんは、多くの人が説明会でもテストでも面接でも、本当に真面目で一生懸命です。そんな姿を見て心を打たれ、感銘を受ける企業側の担当者、経営者がたくさんいます。できれば活躍の場を与えてあげたい、自社で良ければチャンスをあげたいと思っています。

でも会社として置かれている現実の厳しさも考えなければならず、最後の合否はほんの少しの巡り合わせや運のようなもので決めざるを得ません。その差は有るようで無い、本当にちょっとしたことなのです。

このような事は、残念ながら企業から学生さんに伝えることはなかなかできません。学生さんからすれば、なぜダメだったのか理由を知るすべがなく、何をどう改善すればよいのかつかめず、自信を失っていたりします。
ごく一部の会社の、人を軽んじるような不届きな対応が話題になってしまい、社会への不信感を募らせ、就職すること自体への気持ちが萎えてしまったりします。とても不幸なことです。

就活中の学生さんにお願いしたいのは、根気良く活動を続けていただきたいということです。無名だけど良い会社、皆さんの努力を認めてくれる会社はどこかに必ずあるはずです。本当に大変だと思いますが、出会う努力だけは続けていただきたいなと思っています。


2013年2月2日土曜日

社内講師による研修の良さと難しさ(2)


社内講師で研修する場合、テーマや進め方によって向き不向きがあります。

例えば、「講師が受講者に向けて講義する」というスタイルの場合、興味を持って話を聞いてもらうには相応の話術やテクニックが必要です。そもそも一方的に講義するだけの内容では、外部講師であっても受講者に興味を持たせ続けるのは難しいことです。よほど話がうまい人、話題豊富な人、適切な進め方ができる人でない限り、社内講師は不向きということになります。

他にもマネジメント手法ビジネスマインドといったテーマでは、失敗が多く見受けられます。受講者が講師役の仕事ぶりも知っているため、「お前に言われなくない」「お前に言う資格はない」なんてケースが出てきます。どうしても聞きかじりや伝聞の話が多くなり、説得力を欠いてしまいます。講師役のレベルがみんなに理解、共有されていれば少し話は違いますが、このあたりを社内講師で行おうとするならば、相応の講師人材をきちんと育成することが必要でしょう。

一方、向いていることで言えば、社内で必要なスキル共有、社内課題の改善や解決、その他社内事情に基づいた取り組みは、社内講師の方が的確な進め方ができます。外部講師では事情の理解に時間がかかったり、ピントがずれたりすることがあります。
前に少し述べたように、社内講師自身の育成を目的とすることもできます。あえて講師をやらせ、本人のスキルアップにつなげるということです。

私が使い分けていたのは、社内に専門家がいる技術や知識の共有、社内テーマへの取り組みは社内講師、社外でも通用する一般的なスキルやノウハウ、原理原則を学ぶには外部講師ということでした。

また「リーダー」的な立場で取り組むなら社内講師「先生」的な立場なら主に外部講師(テーマによっては社内人材もいる)としていました。
やはり即席の社内講師がいくら先生づらをしても、通用するのはせいぜい新入社員くらいまでではないでしょうか。ですから、新人の技術研修などでは、講師に経験を積んでもらう、リーダー的な感性を養ってもらうという考えも少し含んで講師の人選をしていました。

社内研修に熱心な企業では、社内講師の育成にも熱心に取り組んでいるところがあります。外部講師やセミナーから得た内容やノウハウを、社内人材にしっかり植え付けて展開しようとしたり、様々な形でそれぞれの社員が勉強する時間を設けたりしています。

そんな取り組みで、中身も伴ったプロフェッショナルな社内講師が増えていくならば、これはとても素晴らしいことではないかと思います。


2013年2月1日金曜日

社内講師による研修の良さと難しさ(1)


今は社内研修のお仕事を頂く立場の私ですが、企業人事として社内研修を企画するという逆の立場も長く経験してきました。

特に中小企業で社内研修をやろうとすると、研修会社に頼むほど予算もないし、懇意の講師もいないし、社内講師で何とかしようと考えることは、意外に多いように思います。

確かに外部講師を頼むと相応のお金がかかりますし、時としてこちらの意図する効果が得られないこともあります。(これは講師の力量の問題だけでなく、意図する研修内容の伝え方やテーマと講師の相性など、依頼する側の問題もありますが・・・。) 
「それなら社内で何とかしてしまおう」となります。

私はIT系の企業にいましたが、この手の会社では表向きに人材育成を売り物にしていることが多く、新卒採用などでは「きちんと研修して育てます!」的な言い方でアピールします。
よって社内研修も、新入社員対象の技術研修の比重が必然的に重くなり、これを講師役の社員が手作り感満載で実施するような会社が多かったわけですが、これでは研修テーマにしても進め方にしても研修対象にしても、当然偏りが大きくなってしまいます。
最近はこのあたりも、業界全体的にずいぶん改善されてきて、研修対象も社内各階層に、テーマも技術スキルだけでなくヒューマンスキルやマインドも、社内講師だけでなく外部講師も、という形になってきています。

最近ある会社で、「社内講師で研修を実施したが、大変な不評だった」というお話を聞きました。内容を聞くと、一方的な講義形式の研修を毎日2時間ずつで計3日間、テーマも財務諸表とか労働法規とか、一般知識として知っておいた方が良いがすぐに活かすというものでなく、講師は関連部門の人が持ち回りでやったということでした。研修内容もそれぞれの講師役の社員に丸投げだったようです。
たぶん「研修をやれ」と会社の上層部から言われ、思いついたテーマで話ができそうな人を社内講師に仕立てて、とりあえずやったということなのでしょう。

私はそのお話を聞いた時、企画された方や講義された方には大変失礼ですが、「そんな研修は受けたくない」と思ってしまいました。前向きに捉えようとしてもやっぱり面白くなさそうだし、そんな研修は次の実施に向けての悪影響になります。「この前は役に立たなかったし、今度も同じだろう」と思われてしまいます。片手間のやっつけ仕事の研修ならば、やらない方がマシです。

社内講師で研修するにあたっては、研修テーマや進め方、研修対象などによって向き不向きがあります。そのあたりを見誤って漫然と研修しても、せっかくやったのに下手をすれば逆効果?なんてことになりかねません。
研修を企画する上では、やはりこのあたりをしっかり認識した上で行うことが重要であろうと思います。