2013年10月23日水曜日

飛び越してもよい「情報収集」と飛び越してはならない「指示命令」


組織上のどんな立場でも、現場で起こっていることの「情報収集」は大事です。

社長や役員の現場視察や現場ヒアリングはいろいろな企業で行われていますし、直属の上司部下の関係だけでなく、それを飛び越えた意見交換や情報交換、懇親といったことも、仕組みの有無にかかわらず実施されていると思います。こんな「情報収集」に関しては、それが組織の枠や直属の関係を越えていたとしても、悪いことではありません。

ただ、特に中小企業やオーナー企業で多いのは、この「情報収集」の結果をもとに、組織の枠や上司部下の関係を飛び越した「指示命令」が行われてしまう場合があることです。社長や役員が、直属の部課長を飛び越して現場の一般社員に直接指示を出し、部課長はそれを知らない、などということです。役員が部長を飛び越す、部長が課長を飛び越すなど、パターンはいろいろあります。

こうやって書くと「それは組織運営上は良くないことだ」と理解してもらえるのですが、実際に組織を飛び越した「指示命令」は、結構な頻度で行われているにもかかわらず、当事者がそれを自覚していることは意外に少ないです。「自分は現場を知っている」という感覚で、組織階層はあまり考えず「自分で指示してしまう」のです。

でもこれは、飛び越された指示命令の権限者にとっては、大変困ることです。自分の指示が覆されたり、つじつまが合わなくなっていたり、それが自分のあずかり知らないところで行われていたりします。
飛び越された管理者はどう行動するかを考えれば、まずは飛び越した指示を出した上席者に反論するか、黙って従うかのいずれかしかありません。
その後は、飛び越された本人が、「責任感をなくす」「自分で判断しようとしなくなる」「上司に不信感を持つ」「やる気を無くす」など、いずれにしてもプラスに働くことは一つもありません。

組織上の権限を持ったオーナー経営者や役員だと、ついつい口を出したくなるのでしょうが、組織上の秩序を守るには「指示命令」を飛び越して行うことは、よほどの緊急時でもない限り厳禁です。

「情報収集」は幅広く臨機応変に行い、「指示命令」は組織上の職務権限に従うということは、企業規模に関わらず、絶対に守らなければならない原則だと思います。


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