2013年10月2日水曜日

なぜ若手社員は「仕事とプライベートのケジメ」にこだわるか?


ある企業の新人研修で、「理想の上司をイメージする」というワークをやった時のことです。その中で「仕事とプライベートのケジメがついている人」という意見が、思いのほかたくさん出てきました。

具体的に聴いてみると「仕事中に個人的な話はしない」なんてことが出てきます。「軽い雑談はダメなの?」と聴くと、「うーん、中身によります」などといいます。自分も興味がもてそうな趣味な話などは良くて、奥さんとケンカしたとか、それで機嫌が悪いなんていうのはダメだそうです。

ちょっと面白いので、いろいろ質問してみました。

「仕事終わりの同期飲み会は、仕事?プライベート?」・・・約2割が「仕事」
「ではその飲み会メンバーに上司が入ったら?」・・・約7割が「仕事」
「行き帰りの通勤時間は、仕事?プライベート?」・・・約5割が「仕事」
「休日に会社の仲間と出かけるのは?」・・・「うーん、それはプライベートかな・・・。(とはいうものの、そういう情景があまり想像できていない様子?)」

もちろんかなりの個人差はありましたが、少なくとも私が思っているよりは「仕事」と思う比率が高いようでした。「そんなのは仕事じゃない!」「社会人の自覚がない!なんて怒る人もいそうですが、これは事実ですし、時間をかけて積み上げてきた価値観なので、すぐに変わるものではないでしょう。

なぜ、こう思うのかを考えてみると、仕事観に共通の前提があるように思います。

「仕事はそんなに楽しいことではない」
「やらなければならない義務である」
「自分の意志に関わらず。やらされること、強制されることが多い」 など。

要は自分から進んで、喜んで取り組む対象ではないという感覚です。「言われるまで待っている」「言われなければ動かない」などという傾向の一因かもしれません。

これには、社会人の先輩たちにも原因があります。自分の親でも親戚でも、アルバイト先の社員や上司でも、いつも何かに追われて大変そうな姿ばかり見ていたとしたら、みんな疲れていて楽しそうに見えなかったとしたら、そういう環境はできるだけ避けたい、そんな時間の比率はできるだけ減らしたいと思うのが当然でしょう。
“仕事とプライベートのケジメにこだわる”というのは、「嫌なことはできるだけやりたくない」ということに近いように思います。

これを変えていくには「仕事は楽しくないもの」という前提が変わらなければなりません。仕事を具体的にイメージできる経験、仕事の楽しさを知る経験が増えれば、少しずつ変わっていくのではないかと思います。そういう意味では「職業観の教育」なども必要なのでしょう。

ただ、私はそんな難しいことを言わなくても、「楽しそうに働いている大人」が身近にたくさんいれば、それが一番のお手本になり、周りも自然にそうなっていくと思います。
「楽しそうに働いている大人」が増えること、そして自分たちも「楽しそうに働いている大人」になることが一番の教育ではないかと思います。

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