2013年8月7日水曜日

上司・部下間の「距離感」の捉え方の違い


このところ、体罰に関する話がいろいろなところで取り上げられています。
この件にからんで、柔道全日本女子の監督が辞任するということがありましたが、この会見の際に「コミュニケーションは取れていると思っていたが、一方的な信頼関係だった」という主旨のことを話されていました。自分は「理解し合えている」と思っていたが、実際には一方的な思い込みだったという事です。

私が企業を見ている中でも、上司部下の関係や先輩後輩の関係において、これとまったく同じような事がよくあります。

・飲み会に誘うといつも喜んでついてきていると思っていた部下から、面談の席で「誘われるのが嫌でたまらない」と真顔で訴えられた。
・部下を軽く叱ったつもりが、本人はものすごく思い悩んでいた。
・とっくに解決したと思っていたコミュニケーションの行き違いの問題を、今になってまた再び持ち出された。

その他、セクハラ、パワハラなどに類することも、こんなお互いの認識違いがそもそもの発端であることがほとんどではないでしょうか。

このお互いの距離感の認識違いについて、私が見てきた中では、上司・先輩の方が部下や後輩よりも、相手との距離が近いと思い込んでいることが多いように思います。「上司、先輩、指導者は近しい関係と思っているが、部下、後輩、指導を受ける側はそう思っていない」ということです。最近の若者は、特に年長者と接する機会が少なくなっていると言われるので、なおさらそう感じているかもしれません。よく理解できないけれど、相手との衝突を避けるために、一生懸命相手に合わせようとしていたりします。

どちらかといえば権威や権力を持った上の立場の者の方が、自分に都合よく「近い関係」と思っているので、これを下の立場の者から否定するのはなかなか難しいことでしょう。こんな関係は、実は身近に沢山あることで、それが良くない作用を引き起こしていることも多いのではないでしょうか。

これを解決するには、特に上の立場の者から「相手(部下後輩)との距離感を把握する」ということを、継続して相手に働きかけていくしかありません。自分の経験則や価値観だけにとらわれず、できれば客観的に、相手の態度や様子を見ながら、観察や雑談、オンの時もオフの時も含めた様々なコミュニケーションを、できるだけ頻繁に行っていくしかないと思います。(もちろん部下からも、上司と良い関係を作る努力はできるだけして頂きたいですが・・・)

上司からすれば、「実はよくわからない遠い人と部下から思われていた」なんてことは、とてもショックなことです。でもそれは、ある日突然事実を知ってしまうからショックなのです。日頃から距離感をつかむ努力をしていれば、ショックを受けるようなことは減っていくと思います。

お互いの関係を近づけることができれば、仕事の上でも組織運営の上でも、それに越したことはないはずです。

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