2013年7月20日土曜日

「緊急性」と「重要性」の話でのちょっと異質な反応


 ある会社の研修で、仕事の優先度の話をしました。仕事の「緊急性」と「重要性」で判断する仕事の優先度の話です。

ご存知の方も多いと思いますが、多くの組織では「仕事の優先度」を決める時に、その仕事の重要性(大事かどうかの程度)でなく緊急性(いつまでにやるかの期限)で決めてしまうことが多いというもので、「本当は重要な事の方を優先すべきじゃないの?」というお話です。

「緊急だけど重要でない仕事」と「重要だけど緊急でない仕事」のどちらを優先しますか、と問いかけると、大体の人が「あっ・・・」という感じで考え込みます。たぶん、「そう言われれば目先のことに振り回されて、本当に大事なことに取り組んでいないかも・・・」と思うのでしょう。

しかしこの時は反応がちょっと違っていて、全員があまり躊躇なく「緊急の仕事が優先」と答えました。よくよく考えると、そういう反応になりがちな背景が、実はいろいろありました。

まず、この時の参加者は現場の一般社員の方々で、日々上司や先輩からの指示を受けながら仕事をする立場の人だったこと。さらに仕事柄として細かい案件が多数で、なおかつ一つ一つの期限が厳格に問われ、常に納期を意識して緻密に仕事を進めていかなければならない仕事内容だったこと。おまけでそんな仕事柄を反映してか、真面目でコツコツ型の性格の方々が多いこと、などがありました。

この時はもう少しかみくだいた説明として、「“緊急だけど重要でない仕事”には、やらなくても影響が少ない仕事、自分でない誰かにやってもらっても良い仕事が含まれている可能性がある」というような話をしたところ、そこで初めて「あっ・・・」という反応になりました。それなりに理解してもらう事はできたのだと思います。

この時の参加者のことを考えると、たぶん「緊急だけど重要でない仕事」身近にはほとんど無かった、もしくは思いつかなかったのだろうと思います。こちらの思い込みで、教科書通りの答えに導こうとしても無理があったということです。

自分たちにとっては当たり前のセオリーのようなことであっても、相手の感性や背景をしっかり理解して、相手に合わせて丁寧に伝えることが大切だと改めて感じた一件でした。

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