2013年6月7日金曜日

「協調」を“強調”しすぎる落とし穴


日本の会社では、強い個性自己主張を好ましく捉えないところがあると思います。「協調性がない!」と言われれば、良い意味であることはほとんどないでしょう。周囲の人と合わせない、話を聞かない、自分勝手・・・。そんな文脈での批判的なニュアンスであることがほとんどだと思います。

組織の中で、協調性はもちろん大事ですし、チーム力の向上を考えれば不可欠です。日本人的な強みとして、協調性が語られることも多いように思います。

ただ、協調ばかりが行き過ぎになることでのデメリットもあります。よく言われるのは、責任を取らない(または責任の所在を明らかにしない)、なれあい、個々の向上心の欠如などですが、ある会社のITプロジェクトチームでこんなことがありました。

30代のリーダー、20代後半のサブリーダー、入社3年目が2名と新人1名の5名のチームでしたが、リーダー、サブリーダーは非常に部下の面倒見がよく、常に教えたり様子を気にかけたりしています。チームの和を重視し、全員とても仲が良く、お互いにいろいろ話し合っていてコミュニケーションも良好でした。
これだけ見れば何の問題もなさそうですが、なぜかこのチーム、すべてにおいてレベルアップしないのです。もちろんそれなりに経験を積んではいますが、誰かがぐっと伸びるとか、チーム力が上がって顧客の評価が増すとか、そんなことはほとんどありません。特に技術的なスキルの面でそんな傾向がありました。

このチームのリーダーとサブリーダーは、部下にいろいろ教えてはいるのですが、それは部下が困ったり立ち往生したりしないように、わからないことの答えを教え、具体的なやり方をいつも指示しています。相手の成長育成を意図して、教育しているとはいえませんでした。
またリーダー、サブリーダー自身も、自分たちのレベルアップ、スキルアップにはあまり取り組んでいません。突き上げてくる人がいる訳でもないし、身近に手本がいる訳でもありません。今のままでも当面の業務には何の支障もありません。要はスキルアップしなくてもそんなに困らない状況だったということです。チーム全員が仲良しの裏返しで、あまりお互いに競争心もありません。
結局、過度に協調している結果として、チーム全体の平均値よりも、さらに低いレベルで横並び、平準化されてしまっていたということです。

どうも、お互いの人間関係に波風を立てず、平穏でいられるという意味での「協調」を最優先にしてしまうと、こんなことが起こってしまいます。
どんな事でも結局バランスですが、“協調”とともに“競争”“向上”“衝突”もなければ、本当のチーム力向上にはつながりません。

「協調」“強調”しすぎると、「全体のチーム力がレベルダウンする恐れがある」ということは、肝に銘じておく必要があると思います。


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