2013年6月29日土曜日

「優秀な人」ってどんな人?


企業の採用活動の現場にいると、「優秀な人を採用したい!」という言葉を必ず耳にします。どんな会社でも共通の想いということでしょう。
経営者も管理者も採用担当の人たちも、みんなこの「優秀な人」をいかに自社に入社させるかということに一生懸命取り組んでいる訳ですが、こんな企業側の皆さんに「優秀な人ってどんな人ですか?」と尋ねると、意外にはっきり答えて頂けないことが多いものです。

だいたい出てくるのは「リーダーシップがある」「コミュニケーション能力が高い」「協調性がある」「積極性がある」「打たれ強い」・・・、時に「有名大学出身」「○○資格を持っている」「テストの点数」「学校の成績」などといわれる方もいらっしゃいます。すべてそれなりにうなずけるところではありますが、前段部分は抽象的、後段部分は過去の成果やブランドなので、これだけで優秀と言い切るには不確実でしょう。

このようにかなり感覚的なところが多い「優秀な人」ですが、私がこれを定義する時には「自社の事業内容、仕事内容に親和性が高く、これを発展させられる人」と言っています。

例えばハーバード出身のMBAホルダーは、世間一般から見ればものすごく優秀な人ですが、零細企業の町工場などからすれば、何をやってもらえばいいのかわからない人、あまり活躍の場を与えられない人になることが多いでしょう。ということはこの町工場にとって、有名大学出身の有資格者は必ずしも「優秀な人」ではないということになります。

研究職の個人作業が中心の仕事であれば、コミュニケーション能力はそんなにいらないでしょうし、人見知りのあがり症に飛び込み営業などさせても、なかなか成果は上がらないし本人は相当につらいし、うまくいくにしても相当の時間と労力が必要でしょう。

採用のミスマッチというのは、実はこんな単純なところに原因があるものです。世間一般でいう優秀さをそのまま自社に持ち込んでしまい、実際の仕事内容と本人の特性が合っていないということです。
明るく快活な性格と行動力に魅せられて採用したが、自社の仕事は単調で地味なことがほとんどだったとしたら、見込んだ長所を活かす場は少ないし、何よりも本人がやりがいを見出せないでしょう。過去の経歴やその人のブランドばかりに注目してしまった場合も、往々にしてミスマッチが起こりがちです。

「優秀な人」を明確に答えられないとは言いながらも、ほとんどの会社は自社に合った人材をおおむね適切に採用しています。具体的な人が目の前にいれば、判断基準はお持ちであるということです。こういう会社であれば、一度みんなで自社にとっての「優秀な人」の認識合わせをすれば良いでしょう。

そして、もしも早期離職や入社時の過大評価、仕事上のミスマッチが見受けられるなら、今一度自社にとっての「優秀な人」はどんな人なのかをしっかりと見直す必要があると思います。


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