2013年5月29日水曜日

「やりたい仕事」の見つけ方


就職活動をする学生さんの間から、「やりたい仕事が見つからない」という言葉は、結構よく聞きます。実は多くの人が、「本音では何をやりたいのかよくわからない」と思いながら活動しているのではないかと感じます。

就活もほぼ終息した秋口でも、学生さんに「どんな会社を回っているの?」と聞いたら、「やってみたいことが見つかっていないので、とりあえず視野を広げるためにいろいろ回っています」といわれたことがありますが、それくらい迷いがある人もいるということです。

それでは、いま社会人として仕事をしている人たちで、本当に「自分がやりたい仕事」に就いている人はどのくらいいるのでしょうか。また、「これが自分のやりたい仕事だ」とはっきり意識している人は、いったいどれくらいなのでしょうか。私はそんなに高い比率ではないように思います。

私自身のことでいえば、今は人事のコンサルタントとして、自分の知識や経験を通じて、クライアントに貢献することが「自分のやりたい仕事」になっていますが、これはいろいろな経験をしてきた上での、結果論としての「やりたい仕事」です。
「まぁ何となく興味は持てるかも・・・」という程度でご縁のあった会社に入り、紆余曲折の結果で今の「やりたい仕事」があります。

学生の頃で言えば、漠然と「人とかかわる仕事」などとは思っていましたが、はっきりとした姿が描けていた訳ではありません。「やりたくない仕事」はたくさんあったけど、「やりたい仕事」はよくわからなかった、というのが正直なところです。

最近の就職活動では、皆さん自己分析などを一生懸命やりますが、人と接するのが好きだから営業職だとか、コンピュータに興味があるからエンジニアだとか、機械の勉強をしたからメーカーだとか、うわべの自己分析結果をもとに、うわべのつながりで思いつく仕事と単純に結び付けているだけで、本当の意味での「自分の得意なこと」と、それを活かせそうな「世の中にある仕事」を、うまく結びつけられていないように感じます。

また私の経験では、実際に仕事に活きた「自分の得意なこと」というのは、とても小さなことだったり、偶然に経験があることだったり、すごく間接的な事だったり、事前に予測できないようなことが多かったように思います。実際にやってみないと、いったい自分の何が活かせるのかはよくわからないところがあります。

「やりたい仕事」を見つけた上で就職活動をしようというのは、実は難しいように思います。ここにこだわってしまうと、本音ではそう思っていないのに、「これはやりたい仕事だ」と自分に言い聞かせるようになり、就職はしたものの、「やっぱり違う」ミスマッチになってしまうように思います。

今、世の中にある職種を自分の力で増やすことはめったにできないでしょうから、自分がどんな職種に合うのか、合わせられるのかを考えなければなりません。
まずは自分の「得意なこと」「好きなこと」「興味が持てること」を細かく見つめ直し、それが活かせる場面はどこにありそうかを考える方が大事だと思います。「漢字が得意」がデータ入力の仕事で活きたり、「趣味の食べ歩き」が接待の多い職場で活きたりというようなことは多々あります。

初めから心に決めたやりたい仕事があれば、これは素晴らしいことです。でもそうではない人もたくさんいるはずです。
「やりたい仕事」は、初めに決めなければならないものではなく、仕事をしながら徐々に見つけていくものではないかと思います。


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