2013年5月1日水曜日

「雰囲気が良い」の勘違い


昨年のロンドン五輪で、サッカー男子日本代表がベスト4になりましたが、オーバーエイジ枠で参加し、主将を任されていた吉田麻也選手が、その頃に語っていた新聞記事が印象に残っています。

彼は、本番前の国内での壮行試合で、国立競技場へ向かうバス内の雰囲気が「フワフワしている」と感じ、「明るさと軽さは紙一重。一歩間違ったら危ないと思っていた」と、若いチームに潜む危うさを察知していて、その後のミーティングなどで引き締めを図っていたというコメントが出ていました。

私も自分の仕事上で、同じような「フワフワ感」を感じる機会が、意外にたくさんあります。
例えば社内研修中に、必要以上におちゃらけて笑いを取ろうとする受講者。厳粛さが必要な式典の最中に、やたらと私語をしたり騒いだりする子供や若者。ピリピリした上下関係をやけに嫌う部活動やその他組織活動。みんな仲良しだけど全然業績が上がらない会社など。

なぜそういう状況が起こるのか、私が思っている原因は二つあります。

一つは他人が真面目にしている、厳しい表情をしている様子が怖かったり、その場の空気に耐えられなかったりするために、そういう行為になってしまう場合です。
要は真面目な場を、本人が意識しているか否かにかかわらず、怖い、居づらいと捉え、そこから逃れようとしているということで、幼い子供がよく取る行動と同じということです。交友関係の狭さや経験不足から、その時々の状況を読み取れない、子供っぽい人が増えているといってしまえば、それまでなのかもしれません。

もう一つは、今回の表題の通り、「雰囲気が良い」という状態を勘違いして捉えている場合です。
例えば連戦連敗のチームがあったとして、私はそんなチームの雰囲気が良い訳はないと思いますが、それでも雰囲気が良いと言い張るのであれば、それは「雰囲気が良い」ことと、結果を出そうとしない馴れ合い単なる仲良しとを混同しているのではないかと思います。

「うちの会社はみんな仲が良くて雰囲気が良いんですよ」という話を聞くことがありますが、もしかすると、本当は厳しく言わなければならないことを言おうとしていない、必要以上にお互いを干渉しない希薄な関係、他人にするべき要求をしない、目標レベルが低い、向上心がない、なんていう問題が潜んでいるかもしれません。

やはり「結果を得る」ために必要なのが「雰囲気の良さ」であり、結果が出てこその「雰囲気の良さ」でもあります。
単に気楽で居心地が良い状態を「雰囲気が良い」と言っているとしたら、「雰囲気が良い」ということを勘違いしていると言わざるを得ないと思います。
最近少し強まっているように感じるこの傾向、皆さんの会社でもご注意を!


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