2013年4月3日水曜日

階層別研修を階層横断でやってみたら・・・


一般的に行われる社内研修は、階層別研修職種・職能別研修に大きく分けられます。

階層別研修「初級管理職研修」「部長研修」など、同じくらいの等級レベル対象に部署横断で行うもの、職種・職能別研修「○○技術研修」など、同じ部門や職種単位で行うもので、多くの会社ではこのような教育研修の体系を組んで実施していると思います。

今、私がお手伝いしているいくつかの会社で、例えばマネージャーとそのちょっと下の中堅社員で一緒にやるワークショップ、部長研修に課長クラスがオブザーバーで参加するなど、本来は階層別研修で実施するような内容を階層横断で実施する取り組みをしています。

最初のきっかけは、クライアント企業から「社員の成長速度を少しでも早めたい」とか、「上下でコミュニケーションギャップがあるので、少しでも解消したい」というような要望があり、ではちょっと一緒に混ぜてやって見ましょうか、という程度の軽い考えからでした。

実際にやって見て意外だったのは、小さい会社であっても階層が違うと、意外にお互いの仕事上のつながりが少ないということでした。

30~40名ほどの社員数で、社員同士はお互いを大体知っていると思われるような規模の会社でも、階層横断でワークショップなどをやってみると、その感想として
「今まで一緒に仕事をしたことが無い人と話ができて良かった」
「意外にみんな同じことを考えていた」
「相手の立場での苦労が理解できた」
「自分が軽く考えていたことが相手にとっては重要な事だったとわかった」
など、新たな発見があったというものがたくさん出てきました。

冷静に考えてみれば、部門や仕事内容が違ってなおかつ階層も違うとなると、組織上では斜めの関係です。縦と横の関係を作る仕組みはあったとしても、それ以上は考慮されていないことが多いでしょう。

そうなれば、いくら小さい会社だからといって、飲み会やレクレーションなどで話すことはあったとしても、それ以外の場面でのつながりは少なくて当たり前です。お互いの性格や雰囲気は何となくわかっていても、実際の仕事ぶりを知る機会はほとんどないはずです。

ここに、今回のような“研修”といういつもとちょっと違う場を用意しただけで、話題が変わり、話す内容が変わり、それが階層も部署も異なる者同士では新鮮と感じる情報がいっぱい出て来たようで、新たなコミュニケーションの場になったようです。

最近は、この「コミュニケーションの場づくり」を工夫する企業が増えています。社内運動会の復活、ホームパーティー奨励、ランチミーティング奨励、ブラザー・シスター制度、社内SNS、サークル活動支援、社員食堂の活用、会議室デザインの工夫・・・、その他ここでは挙げきれないような様々な取り組みがあります。“階層横断”研修も、この場づくりの一種といえるように思います。

コミュニケーションの場が、ONでは「会議と面談と報連相」、OFFでは「飲み会と雑談」という会社も多いと思いますし、「それで十分」という人も多いのかもしれません。
ただ、社員同士のコミュニケーションは深まれば深まるほど、業績には絶対に良い影響となって返ってくるはずです。

今回のように、ほんの少しシチュエーションを工夫するだけで、コミュニケーションを深めることができることならば、やってみる価値はあると思います。


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