2013年3月23日土曜日

組織変更の難しさ-もっとうまく進められる?(2)


組織を変えようという時に、その意義で語られるのは、たいがい大局的な事業展開上のメリットです。競争力を高める、開発力を高める、財務体質強化、その他いろいろです。私が合併で経験したケースもそんな話でした。

ただ、経営者にはもう少し直接的な意義がありました。例えば事業拡大して株式公開できたり株価が上がったりすれば、資産を築けるかもしれません。社長の個人債務があればこれを清算できるかもしれません。思いのほか大きい企業の社長になれるかもしれません。私の経験した中では、そんな政治的な話個人の事情に関わる話も見え隠れしていました。
やはり当面の話題である合併方式、役員構成、組織構成などは、直接自分の身の上に降りかかることですから、これに力が入るのは当然でしょう。

しかし、経営者として考えるこのあたりの意義というのは、社員に直接通じる部分が少ないことばかりでした。当然温度差が出てきます。
私が経験した合併の場面ほど極端ではないにしても、組織を変えるということは、経営に近い人ほどその意義を強く考えているし、重視もしていますが、その認識があまり社員には伝わっていないように思います。

そんな温度差を助長する原因は、どっちもどっちのようなところがあり、経営側の問題でいえば、現場から遠い人ほど組織変更や人事異動など、そればかりで影響を行使しようとするので、逆にそれが定例行事のように、あまり戦略がないままに繰り返されていることがあります。
社員の側では、やはり組織変更が目的としている大局的なところをあまり見ようとせず、身近な環境が変わるのをただ“面倒なこと”と捉えているような場合が見受けられます。

組織変更をうまく進めるためには、やはりこの意識の差、温度差を埋めることが大切です。
特に経営者の側からは、社員の視点を理解しつつ、社員への様々な働きかけ(説明、経過報告、情報提供、前向きな動機付けなど)に、もっともっと取り組むことが必要ではないかと思います。

この温度差が埋められないと、せっかくの組織変更の意義は、どんどん薄まっていってしまうように思います。


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