2013年2月23日土曜日

教えてできるなら教えればよい


来月になれば、新入社員が入社してくる会社もあると思います。もうすぐ3月という今頃は、新人研修の準備などをしている担当者の方々も多いのではないでしょうか。

新人を教えるのは、社長、役員、上司、先輩、外部講師、その他いろいろでしょうが、新入社員にとってはお兄様お姉様、おじ様おば様たちということだろうと思います。当然世代は違う訳で、教える側にとっては、何かといらだつことも多いと思います。

今どきの新入社員について、良く言われることの一つに素直だが気を利かせるのが苦手ということがあります。もう少しいうとピンポイントでは気がつくが歯抜けが多い。またはアンテナの本数が少ない、感度が悪い、一方向しか向いていない、などでしょうか。

こう言うと、社会人経験のある皆さん、特に管理職世代の方々は、我が意を得たりとばかりに反応します。
「本当にその通り。いちいち言わないと動かないんですよ」
「自分たちの頃は見て覚えるのが当たり前で、いちいち教えてくれたりしなかった。今の奴らは甘い!」
「一つ教えても、ちょっと違っただけで応用が利かない」「自分たちも先輩に怒られたけど、こんなにひどくなかった」など・・・。
そして決め手のキーワードは「ゆとり教育世代だからね・・・」。これでみんな納得してしまったりします。

でもこれを聞いた新入社員たちはどうすれば良いのでしょうか。自分たちが好きでその教育を受けたわけでないし、他の世代の教育を受ける機会は無いですから比較対象もないし、こんな批判をされても「何だかなぁ・・・」と思うでしょう。

私もいつも反省するのですが、自分と違う価値観に接すると「ここが違う、あそこが違う」違いばかりに注目してしまうということです。例えば外国の文化に接して、その違いに驚いたりしますが、冷静に考えれば実は同じ事の方が多いように思います。普通は朝起きて夜は寝るし、お腹が空けば何か食べたいし、子供はかわいいし、家族は大事だし、キレイな景色はキレイって思う・・・。

私が思うに、違いを強調する人ほど、相手にきちんと向き合っていないことが多い気がします。自分と違っているから、ヘンな奴、変わっている奴、ダメな奴にしてしまって、その差を埋めようとしていません。歩み寄ってこない相手が悪いという態度です。これほど極端でなくても、新入社員の件は基本的に同じ事です。

「いちいち教えなければ動かない」ならば、まずはいちいち教えれば良いと思います。今の若い世代の人たちは、いまいち気が利かないとか言われますが、自分が意識していることやこれまでに経験したこと、感じていることにはきちんと反応できます。みんなやさしいし、言われたことは素直に一生懸命やろうとします。経験とともにアンテナは機能するようになるので、いろいろ働きかけることが大切です。それを繰り返すうちに、少しずつこちらが考えるレベルに近づいてきます。そして何年か経つといつの間にか「最近の新人は・・・」などと偉そうなことを言うようになります。

「打たれ弱い」「指示待ち」などと批判し、その原因が「ゆとり教育」だとしても、そんな違いはどうでもよいのではないでしょうか。きちんと向き合ってみれば、自分たちと同じ事や、場合によっては自分たちより優れたことも多いのではないかと思います。

若い人を教えるのは年長者の務めです。
“教えてできるなら教えればよい”と思います。


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