2013年1月30日水曜日

多くなっている気がする“非主張行動”


「アサーション」という言葉、ご存知でしょうか。
直訳すると“主張・断言”などとなりますが、本来の意味として、“自他尊重の自己表現法”、“さわやかな自己表現”などといったり、“アサーション”とそのまま使われたりします。
要は「自分の考え、感情、欲求などを率直に、その場の状況にあった適切な方法で述べる」「相手の立場を尊重しながら、適切な自己主張をする」ということです。

中身をものすごく要約すると、コミュニケーションのタイプには
1.言うべきことを言わずに我慢する非主張行動(ノンアサーティブ)
2.自分の都合で言い過ぎて相手を犠牲にする攻撃的行動(アグレッシブ)
3.相手を尊重しながらも、言うべきことをはっきり伝える主張行動(アサーティブ)

という三つがあって、1ではその場は丸く収まるが、我慢は蓄積していつか爆発する。2は一瞬気分がすっきりするが、後で様々なトラブルや後悔を招く。なので3の方法を取ることが望ましいというものです。

私がコミュニケーションスキル関連の研修を行う際、このアサーションに関する部分を良く扱います。実行するのはなかなか難しいですが、知っているのと知らないのとは大違いなので、まず知ってもらうという目的で取り組みます。

 ケーススタディをやったりしますが、よく感じるのは、「非主張行動(ノンアサーティブ)の傾向が強い」という事です。どんなコミュニケーションの取り方が望ましいかを考える課題にもかかわらず、「黙って従う」「自分の都合を変更する」「そのままやり過ごす」など、コミュニケーション自体を避ける回答を出してくるケースが結構あります。

実際の仕事の場面での話を聞いてみても、「上司の指示通りにする」「反論しない」など、どうも自分の意見を言わないことが多いようです。よく、「今の若者はキレやすい」とか「自己中心で自分の都合ばかり」などと言われますが、これも非主張行動を続けて不満を溜め込んだ結果という面もあるので、同じつながりの中のことのように思います。

また、「とてもそんなこと言えない」「どうしても言いづらい」という言い訳が多いと感じます。自分の感覚ではそれほどハードルは高くないはずなのに、相手にとっては「言いづらい」「言えない」のです。たぶんお互いの距離感をつかめないことが、一番の問題なのだと思います。メンタルダウンを起こしたり、急に会社を辞めてしまったりというのも、こんなところに原因がある気がしてなりません。

思ったことを伝える行動をしないということは、本人にとっては無理難題だったり、不安でいっぱいだったり、意見や考えが違ったりしていても、表面上は素直に理解したように見えるので、周囲からは気づきづらいはずです。

幸いなことにコミュニケーションをうまくとりたい気持ちを持っている人は多く、どう接したら良いかがわからずに腰が引けている部分が強いので、研修などを通じて「言いたいこと」「適切な言い方」がわかってくると、徐々に相手との距離感もつかめるようになり、比較的早く改善してきます。

かつては「コミュニケーションスキルは自然に身につけていくもの」という意識が強かったと思います。しかし今はそんな昔の常識にとらわれず、必要な事はきちんと教えていかなければならないということだと思います。


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