2012年9月28日金曜日

社内研修の効果測定をする善し悪し

社内研修の企画や実施をする立場の人であれば、「客観的に評価できる効果測定をしろ」という指示を出されることは、良くあるのではないかと思います。特にこれから研修に力を入れていこうと考えている企業や、新たな内容の研修を企画しようという時などには、そのような指示が出てきがちです。

実際に効果測定を行うとなった場合、その方法はほぼ限られていて、「事前事後の差を比べる」か、「実施の有無での差を比べる」しかありません。
問題は何の差をどうやって比べるかです。資格取得やスキル研修といった内容ならば、合格率や合格者数、ペーパーテストの点数など、客観的に見える数字の差で比べられるでしょうが、リーダー研修、マネージャー研修といったマインド面も含む研修だと、何かを数値で表すことはそう簡単ではありません。

何らかのテストや風土調査で出て来る点数を比較したり、アンケートなどでニュアンスの違いを比較したりということをするのだと思いますが、調査する人の立場や考え方などによって、その人たちの価値観に合う都合が良い解釈の評価になる可能性もありますし、これで本当に意味がある結果が出てくるのかは疑問です。

また「実施の有無での差」の場合は、母集団の違いという問題もあります。研修を受けていない優秀な集団と研修を受けた出来の悪い集団を比較しても、参考になる結果は得られないでしょう。客観的とか定量的とか言われても限度があります。
さらに、このような効果測定を行おうとすると、概して多大な労力がかかります。その割に意味がある結果が得られないとなれば、やるだけ無駄ということになりかねません。

私は、研修の効果測定は、主観だけでも十分と考えています。個人による受け止めの差、価値観の差、人生経験など背景の差、時間軸の差など、簡単に比較できない要素があまりにも多いからです。
決して効果測定が不要といっているわけではありません。「アイツ最近ちょっと変わってきたね」「何となく雰囲気が変わってきたね」「前より話す頻度が増えたね」といった感覚、印象、空気感といった事でも十分なのではないかということです。

「主観」を積み重ねていくと、それが少しずつ「客観」になっていきます。客観、定量にこだわることをあえて止めてみると、無駄な労力を使わずに、逆に価値がある情報が得られるようになるのではないかと思います。

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