2012年7月2日月曜日

360度評価は良い仕組みか?

360度評価というやり方が言われ始めてから随分時間も経っているので、それほど目新しい制度ではないかもしれません。導入している会社もありますし、制度としての良し悪しにはいろいろな意見があると思います。
私自身も360度評価は良い仕組みなのか」という質問をされることもありますので、ちょっと自分の考えを述べようと思います。

結論から言うと、「対象者の“やる気”につながるかは運用次第で、マイナスに働いてしまう危険性をはらんでいる」ということです。

例えば、周りの人たちみんなから評価されることによって、お互いの信頼関係が確認され、自分の課題も認識できたとすれば、良い意味の“やる気”につながりますが、単に相手の欠点を指摘する“ダメ出し”のようになった場合、「なにクソ」と思って前向きに捉えられれば良いですが、必ずしもそうはいきません。

もちろん一般的な人事考課でも同じ危険性はありますが、例えば若手の部下や一般社員のように人を評価することに慣れていない場合、評価する相手に対して一方的な不満を抱えているような場合、他部門の同僚で評価できるほどの接点がない場合など、評価の客観性を歪める要素が通常の人事考課より格段に大きくなります。

  このあたりに配慮した制度にしたり、評価者研修をするなど工夫して運用している会社ではうまく機能している話を聞きますが、360度評価を行ったことでかえって社内の人間関係を阻害してしまったと言う話も聞きます。
  特に周囲すべてから評価される管理者のストレスは相当なものです。 どんな人でも一方的にダメだしされればヘコミますし、それが定期的に繰り返されるとすれば、何かに取り組もう、改善しようという前向きな気持ちにはなかなかなれないでしょう。
  もし制度導入を考えるのであれば、マイナスの影響を減らすためのより細かな配慮が必要であると思います。

  ずいぶん以前に聞いた話で、教育改革の一環で、先生たちの評価に360度評価を適用するということがありましたが、様子を聞いているとどうも選別の要素が強く、ダメ出しをしてその人を排除するという考え方のように見えました。
  「選別して排除することで事態は良くなるのか・・・・」。 その点について、私はとても疑問です。

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